「チャンスの女神は前髪しかない」という話はよく耳にする。どんな女神なのかと、様々な妄想をしてみたが・・・
実はトップ画が正しいらしい。女神というより、禿げたおっさんだ。この禿げたおっさんこそ、カイロス神。
カイロスは時を司る神とされているが、どうやらギリシャ神話の中では神とは呼べないような甘ちゃんだ。何せ、父親の忠告も聞かず、調子に乗って高いところを飛んだために海に落ちてしまったという。
カイロスよ、お前はスーパーの駐車場に解き放たれた2歳児か❓
そんなカイロス神には後ろ髪が無い。
飛んでくるカイロス神を捕まえるには、前髪を上手く掴む必要があるらしい。カイロス神がいつ飛んでくるのかもわからないし、気が付いたら通り過ぎてしまっているかもしれない。捕まえるのは、そう簡単な話ではないだろう。
カイロスの父はクロノス。クロノスが時の神で、カイロスが機会の神だそうだ。粛々と流れるクロノス時間の中で、いつ訪れるかも知れぬカイロスの機会を掴めるか否かで人生は大きく変わるかもしれない。今週のメルマガでは「チャンスを逃すな」ということについて書いたが、チャンスをチャンスと気が付かずに逃してしまうことも多い。
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露の位
【剣道審査員の目3】の中で、岡田一義範士が「三位の格(さんみのかく)」について書かれている。
三位の格については、ネットの辞書にこう書かれていた。
「露の位」「石火の位」「梵鐘の位」を古来三位の格として貴んでいるが、「露の位」とは木の葉に落ちた水滴が静かに凝集して機満つればポタリと落ちるように決して無理な打ちを出さず静かに気の至るを待つことであり、「石火の位」とは火打石を打てば火が出るように機至れば間髪を入れず鋭い打ちを出すことである。
weblio辞書
さらに「梵鐘の位」とは打てば即ち梵鐘のように余韻嫋々たる気の残心を漂わすことである。一本の打ちに理想的内容を示したものであるが、実に麗しい適切な表現である。
剣道では、「攻め」「溜め」「打突」が重要だ。そして、打突時には、瞬時に爆発させなければならない。とはいえ、無理矢理爆発させるものでもない。それが「露の位」だ。
つまり、「露の位」とは、溜めから爆発に至る過程に無理があってはいけないという意味だ。機が満ちれば、自然に技が出る・・・ということらしい。
チャンスを伺っていれば、必ずやカイロスは訪れるということだ。剣道は相手が居てこそ成り立つもの。自分一人で何とかなるものではない。カイロスが訪れるまで、じっと待つ必要があるということだろう。
ただし、ただ待っているのではない。自ら攻め、誘い、旺盛な気力を持って、いつでも打てる状態で溜める必要がある。
やがて、カイロスは訪れる。必ずや訪れることだろう。
「待ち」と「溜め」の違い
以前、庸玄先生のセミナーに参加した時に「待ち」と「溜め」の違いについて質問してみたことがある。
「溜め」と「待ち」は「いつでも打てる状態かどうかの違い」だ。
相手が来たときに、「ぱっ」と打てる状態なら、待っているように見えても「溜め」だ。
つまり、待っているかどうかということは、外から見て簡単には判断できないということだろう。結果として「待っていた」となることはあっても、待っている状態を勝手に判断されても困る。「ワイ、溜めてるんすけど・・・」という状態かもしれないからだ。
では、どうして待ち状態はよくないのだろうか。
実は、待ち状態では、どうしてもチャンスを掴むことができない。出遅れるからだ。だから、待ちではなく、溜めておく必要があるということだ。溜めているなら、カイロス神の前髪も余裕で掴める・・・に違いない。
逆に、相手が溜めている状態の時に「おお、待っとるな。今なら打っても大丈夫やな。」と思って迂闊に打って行けば、相手にとってはチャンスなのだ。2歳児のカイロスがのこのこやってきた状態に違いない。無防備なカイロスは前髪をぱっと掴まれてしまうことだろう。
これはカイロスのピンチである。後ろ髪のみならず、前まで禿げてしまうではないか・・・
ただし、そんな単純な話ではない。溜めている状態でも「待つな」と指摘される場合があるからだ。
やはり何もせずに溜めている状態では「待ち」と判断されてしまうことも多い。そんな指摘を受けても、自分の中では「待ちではなく溜めだ」と割り切ってしまえば良いのだが、世間の風は冷たい。
実際、昇段審査の立ち合いではそうもいかない。演武的な要素も含まれるからだ。つまり、第三者から見て「溜め」でなければならない。そんな時の対策としては「誘い」が有効だろう。
どうやって誘う?
相手を誘うことは困難だ。特に僕のようなコミュ障にとって、人を誘うことは崩壊前のベルリンの壁に見える。その壁は乗り越えられないし、取り壊すことも困難かもしれない。
そんな時は陽キャを演じてみてはどうか。陽キャならどうやって誘うのか、熟考してほしい。相手との関係性や自分の得意分野、相手の得意分野も計算し、創意工夫するのだ。相手が今、何を考え、自分に何を求めているのかを考えるのだ。
そうすれば、あの難攻不落と思われたベルリンの壁も、トランポリンを使って一気にぴょんっと跳べるに違いない。相手を誘う方法は何通りもあるし、相手によっても効果的な方法は異なるだろう。そこが面白いところだ。
こっちから誘っているつもりが、いつの間にか嵌められたというパターンもある。クロノスとカイロスの織り成す世界は実に滑稽だ。
審査時間は非常に短い。その短い時間の間に、いかに自分を表現できるのかがカギとなる。
ちなみに、時間の流れが早いと感じるのは、クロノス神とカイロス神の仕業らしい。気が付けば12月に入り1週間も経っているではないか。クロノスとカイロスを何とかしなければ😱
と、ここ3日間くらいのTwitterをまとめてみた。
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