今月末に滋賀県では初段から五段までの昇段審査が開催されますが、今度の昇段審査で三段を受審する予定の高校生のI谷君、ちょっと悩んでいるようですね。
どうやらI谷君は初段や二段の審査の合格率が高いので、三段も同じように合格するものだと思っていたようです。
しかし、三段というと私の感覚ではやはり初段や二段とはちょっと差があるイメージ。階段で言うと、こんなイメージです。
初段・二段と比べると、難易度は急に上がると思っています。そして、四段では更に難易度は上がります。
以前の記事で四段について取り上げました。四段というのは多くの剣道愛好家にとって壁のように思われています。四段に関してはこちらの記事を参考にしてください。
しかし、三段はそこまでの壁を感じることはないでしょう。真面目にコツコツ今まで通りの正しい剣道をしていれば合格できると考えます。というわけで、今日は
剣道三段ってどのくらい?落ちた理由も考えてみよう!
というテーマを取り上げてみたいと思います。三段の審査ではどのような技術が求められるのでしょうか?難易度も含めて考えてみたいと思います。
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剣道三段ってどんな審査?
全日本剣道連盟の称号と段級位のルールによると、初段から三段までは各地方団体によって段位審査会が開催されます。
滋賀県の場合は剣道人口が少ないので、県で初段から五段までの審査が一度に行われますが、剣道人口の多い都道府県の場合は市や区単位で段位審査会が行われるようです。
三段の場合は、初二段と同じく奨励段という位置付けの地域もあるようで、合格率や合格レベルは地方によってかなりの差があるようにも聞いています。
地域によっては三段の合格率が毎回ほぼ100%という地域もある一方、20~30%程度の厳しい地域もあるようです。しかし、単純に合格者の実力を合格率で判断するのは正しくないと思いますので、あなたの置かれた状況によって前向きに捉えましょう。
全日本剣道連盟の「称号と段級位のルール」によると、以下のように書かれていました。
- 初段は、剣道の基本を修習し、技倆良なる者
- 二段は、剣道の基本を修得し、技倆良好なる者
- 三段は、剣道の基本を修錬し、技倆優なる者
- 四段は、剣道の基本と応用を修熟し、技倆優良なる者
- 五段は、剣道の基本と応用に錬熟し、技倆秀なる者
- 六段は、剣道の精義に錬達し、技倆優秀なる者
- 七段は、剣道の精義に熟達し、技倆秀逸なる者
- 八段は、剣道の奥義に通暁、成熟し、技倆円熟なる者
全日本剣道連盟「称号と段級位のルール」より抜粋
三段はやはり基本であるということですが、二段が「基本を修得し」と書かれているのに対し、三段では「基本を修練し」と書かれています。より技術を磨かなければならないということですね。
そして、審査の着眼点については初段から三段までは以下のように書かれていました。
- 正しい着装と礼法
- 適正な姿勢
- 基本に則した打突
- 充実した気勢
この辺りは日頃の稽古通りにできれば問題ないのではないかと思います。では、どこに合否のポイントがあるのかということになりますよね。
三段の審査は以下のような内容です。
- 実技審査
- 日本剣道形(太刀の形7本)
- 筆記試験
その中でも高校生のI谷君が不合格となってしまった実技審査での合格基準を知ることができれば、難易度の高い剣道三段も怖くありませんよね。
では、剣道三段の実技審査について考えてみましょう。
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剣道三段の実技審査ってどんなことをするの?
実は、剣道三段の実技審査と言っても、各地方団体によって内容が違うようなのです。ちなみに、私は学生の時に福井県で受けたのですが、内容は滋賀県と同じで、二人の相手と稽古をするだけでした。
時間にすると40秒~1分弱くらいでしょうか。しかし、色々な地域の人の話を聞いていると、
- 切り返し
- 応じ技の試験
などが実施されるところもあるようです。応じ技の試験というのは、例えば「面すり上げ面」なんかを何本か打ち、その技の錬度を確認するようですね。
それなら審査前に応じ技の稽古ばかりをしていれば良いでしょうし、比較的難易度は低いと考えてしまいます。やはり難しいのはそう言った審査ではなく、立ち合い形式での稽古ですね。
立ち合い形式の実技審査と考えた場合の剣道三段の合格基準を下にまとめてみました。
- 機会を正しくとらえているか
- 攻めのある打突
- 適正な間合いからの打突
- 気迫のこもった打突
- 有効打突があること
初段・二段と大きく違うことは、有効打突ではないかと思います。ただ真っ直ぐに打っているだけではなく、きちんと機会を捉えて有効打突を出せるかというところですね。
そういうイメージで、合格された方の動画を見てみましょう。
色んな書籍やサイトによると、応じ技が必要と書かれているものもありますが、特に応じ技に拘らなくても自分の打てる技で確実な有効打突が2本程度打てれば良いでしょう。
但し、試合ではないので基本に即した打ちをする必要があります。勿論残心も必要となりますね。では、三段の実技審査で不合格になるのはどのような場合でしょうか。
剣道三段の実技審査で不合格になるのはこんな人!
これまで述べてきた部分で、剣道三段の実技審査でどのようなことが求められているのかということはわかったと思います。しかし、試合である程度勝てる選手であっても三段の審査では不合格となるケースがあります。それはどのような場合でしょうか?
注意しなければならないのは次の3点。
- 立ち姿が・打突時の姿勢が崩れている
- 自分から攻めていない(ように見える)
- フェイントばかり
このような立ち会いをしてしまうと、例え試合で有効打突となるような打突が何本か打てたとしても不合格になる可能性が高いでしょう。それは、基本に忠実な正しい剣道という部分から大きく外れてしまっているからです。
ですから、打たれてもいいという気持ちで、自分から攻めて真っ直ぐに打つということが重要です。有効打突という点で考えても、三段を受審するのなら普段の稽古から綺麗な有効打突が取れるように心掛けましょう。
ところで、あなたは剣道三段の受審資格って知ってますか?実はわかっているようでわかっていなかった受審資格について見ていきましょう。
剣道三段の受審資格!二段合格から2年経ったら受けられる?
剣道三段の受審資格って、意外とはっきり知らない人が多いかもしれません。ですから、もう一度確認しておきましょう。
数年前に規則が変わり、初段は一級の資格があり、審査当日に13歳であれば受審可能ということになりました。二段は初段合格してから1年後、三段は二段合格してから2年後に受審可能になります。
つまり、最短で13歳で初段、14歳で二段、16歳で三段ということになります。私が若い頃は高校3年生になってようやく受けることができたのですが、そう考えると以前よりは緩和されているということですよね。
ちなみに、1年後、2年後というのは修業期間なわけですが、全く修業せずに審査だけ受けるって言う人も居ますよね。それで合格してしまう人は凄いと思うのですが・・・
なんて思ってしまいますが、きっとそういう人は人知れず心の修業をしているに違いありません。人として大きく成長しているのでしょう。
でも、実は二段に合格してから2年経過する前に三段を受審することが可能な場合があるのです。
称号・段級位審査規則の中にこうありました。
三段・・・40歳
40歳以上なら、二段合格してすぐに三段を受けることができるんですね。初めて知りました。ちなみに、他の段についても記載がありました。
- 二段・・・35歳
- 三段・・・40歳
- 四段・・・45歳
- 五段・・・50歳
そんな決まりがあったなんて知りませんでしたよね。つまり、歳をとってから剣道をするとそれだけで努力してると認められるということです。それはそれで大変なのですが・・・
ところで、現在は最短で高校1年生の内に三段を取得できることになっていますが、大人になってから三段に合格した人と高校生の三段は同じではありませんよね?三段の実力ってどのくらいなのでしょうか?
三段の実力ってどのくらい?同じ三段でも全然違うのは何故?
先日、「かりそめ天国」というテレビ番組でお笑い芸人のチャンカワイさんが高校生に試合で挑むという企画がありました。私は残念ながらテレビの放送を見ることができなかったのですが、現在は後からでも見られるので便利ですね。
もし、まだ見ていないという場合は、Tverのサイトで見てみてください。こちらのリンクから無料で見られると思います。
番組としては凄く面白くて笑ってしまいましたが、実に残念な結果となってしまいました。剣道三段のチャンカワイさん、きっと視聴者の方からは
と思われているに違いありません。
実は、高校生の三段とおじさんの三段を同じ物差しで測るのは無理があるのです。昇段審査というのは、同じ年代、同じような経歴の人同士での立ち会いが基本ですよね。ですから、同じような人の中で、頭一つ抜き出ているような場合には合格できるでしょう。
高校生の三段とは竹刀のスピードも体さばきのスピードも全然違うのは明らかです。恐らく、チャンカワイさんも高校生との立ち会いだったら三段の合格は無かったと思います。チャンカワイさんの昇段審査の様子を見ていないのでわかりませんが、実際の立ち会いでは三段らしい立ち会いができていたのではないでしょうか。
まとめ
今日は剣道三段の審査基準や難易度について考えてみましたが、いかがでしたか?
普段から基本に忠実な正しい剣道をしていて、それと同じように審査の立ち合いができればおそらく合格できるでしょう。しかし、審査と言うのは相手があるのでそうそううまく事が運ぶとは限りません。
そんな中でも、下に示す基準が満たされるように日々の稽古に取り組む必要があります。
- 機会を正しくとらえているか
- 攻めのある打突
- 適正な間合いからの打突
- 気迫のこもった打突
- 有効打突があること
最も難しいのが有効打突ですね。でも、そんなに何本も必要というわけではありません。1回の立ち合いで2本の有効打突があればいいのではないでしょうか。できれば、攻めがあり、気迫のこもった打突で、残心までできれば言う事ないでしょう。
相手も審査を意識しているのであまり変則的な打突というのはしてこないと思います。正しく真っ直ぐに打つことだけを考えて審査に臨んでください。
御武運をお祈りいたします。
ところで、調べてみて初めて知ったのですが・・・
三段以下の審査は錬士六段以上なら審査員をしても良いそうです。錬士を取得すれば昇段審査の審査員ができるんですね。とは言え、国内では錬士六段で審査員をすることは無いとと思いますが・・・
他にも昇級審査・昇段審査関連の記事を書いていますので、是非ご覧ください。
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