先日の市民剣道大会の個人戦中学男子の部で優勝したK君を見て、とある保護者のTomoさんは尊敬の眼差しです。
文武両道って感じで。
勉強も学校で一番らしいし。
学校の成績までは知らんかったけど、稽古してると何となくわかる。
うちの子なんかほんまにヤバいですね。
Tomoさんとこのお子さんは女の子の姉妹です。上のお子さんは勉強は好きなんだそうですが、剣道の方はまるで駄目。逆に下のお子さんは剣道しかやらないみたいな感じ。
と、嘆いておられました。
というわけで、今日は
文武両道の本当の意味と使い方
について調べてみました。学校教育では文武両道が求められるようで、校長先生の話の中には文武両道だけでなく、類義語も良く引用されます。文武両道の意味だけでなく、類義語や例文などについても紹介していますので、是非最後までご覧ください。
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「文武」は勉強とスポーツの意味だけではない!?
文武両道という言葉は古来より最高の褒め言葉として使用されていたようです。
平家物語の中には「あっぱれ、文武二道の達者かな」という言葉が出てきます。これも文武両道と同義語ですね。調べてみると、類義語・類義語・同義語がいくつもありましたので紹介しましょう。
類義語 | 意味 |
---|---|
文武二道(ぶんぶにどう) | 文と武との二つの道。文事と武事との二面。学術・文化面と武術・軍事面。 |
文武不岐(ぶんぶふき) | 学問と武道は別物ではなく、どちらがかけてもいけない。 |
文武兼備(ぶんぶけんび) | 学問と武道のこと。 または、学問と武道の両方にすぐれた能力があること。 |
左文右武(さぶんゆうぶ) | 文武の両道を兼備すること。 学問と武芸の両面を重んじること。 |
文事武備(ぶんじぶび) | 文学と武芸の両方を充実させることが大切であるという教え。 |
緯武経文(いぶけいぶん) | 文武を兼ね備えること。経文緯武。 |
また、下の動画を見るとわかりますが、大河ドラマでも有名な戦国武将の黒田官兵衛も「文」と「武」のどちらかが欠けてもいけないと言っていますね。
このように、文武両道は昔から理想の人物像として思い描かれていたようですね。それでは、現在の「文武両道」という言葉の使用方法から意味を考えてみると・・・
ということですが、元々は少し意味が違ったようです。ウィキペディアで調べてみると、
文武両道(ぶんぶりょうどう)とは、文事と武事、学芸と武芸、その両道に努め、秀でていることを指す語。求道的な評価にも用いられる語である。転じて、現代では勉学と運動(スポーツ)の両面に秀でた人物に対しても用いられる。
と書かれていました。本来は文事と武事が優れている人のことだったのです。
実は、文事と勉強というのはイコールではないようです。では、文事とは何を表すのでしょうか。
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文事って勉強のこと?
文事というのは勿論学問・勉学・勉強のことも含まれています。しかし、実はそれだけでは無かったのです。
文事という言葉の意味を調べてみると、学問・文芸などに関する事柄とあります。つまり、学問だけではなく、文芸も指しているということがわかります。
例えば、剣豪宮本武蔵という人を知ってますよね。宮本武蔵は「五輪書」でも有名ですが、絵を描くのも大変得意だったそうです。絵を描くことも文事の一つ。宮本武蔵は文武両道の人だったわけですね。
絵を描くということ以外にも、和歌を詠むというのも文事ですし、茶道も文事です。これって、現代で言うところの学問のイメージとは少しずれているように思いませんか?
つまり、文武両道の文というのは学校で習う国語・数学・理科・社会・英語といった勉強だけではなく、美術・音楽や華道・茶道というところまで含めた意味だったのです。
ですから、単に学校のテストの成績が悪いからと言って「武」より「文」が劣っているなんていうことは一概には言えません。芸術面で優れた才能があるということも重要なポイントですね。
では、「文武両道」の正しい意味を知ったところで、正しい使い方や例文について見ていきましょう。
「文武両道」の正しい使い方と例文を見てみよう!
文武両道という言葉を使った例文を示しましょう。
- 私の彼は文武両道を目指しています。
- 文武両道は美しい。
- わが校は文武両道をモットーとして、勉学と部活動に力を入れています。
単純に例文のような使い方で良いと思います。文武両道と言うと、単に「文芸と武道」という意味のことのように勘違いをしている人もいるかもしれません。しかし、本来の意味は上記のように、優れている人のことを指します。
ですから、よく「我が校は文武両道です。」なんて学校紹介があるようですが、学校は文武両道ではないように思いますね。学校の生徒の一人一人が文武両道なのだと思います。
微妙な言い回しに注意しましょう。
先日、剣道人という雑誌の付録DVDで島原高校の稽古風景が紹介されていましたが、正に島原高校の剣道部員達は文武両道を目指しているということなので、本当に素晴らしいですね。
ところで、日本の学校では文武両道が良いとされていますが、海外はどうなのでしょうか?実は日本よりも英語圏の方が文武両道を推奨しているようです。
英語圏における文武両道
現在の日本の高校や大学受験のシステムでは下記のようになっています。
- 試験の点数が良ければ合格
- スポーツが優れていれば合格
文武両道が理想かもしれませんが、日本のシステムの場合は逆に両方できてしまうような人材はどっちを選択するかというのが非常に難しいかもしれません。
ところが、英語圏の受験システムでは文武両道の人材でなければ受験すらできないという厳しい学校があるそうです。
何故そのようなシステムになっているかというと、勉強だけではなく、スポーツを通じて精神的な部分や道徳的な部分を学んでいる人材を入学させたいという学校側の想いのようです。
では、スポーツを通じてどのようなことが学べるのでしょうか。例えばこちら。
- 公平さ・フェア精神
- 戦略を立てる
- マナーや規律に従うこと
- 競争心・闘争心
- チームワーク
- リーダーシップ
- 困難に立ち向かう勇気
よく考えてみると、これらのことは社会に出てから必要なことばかりですよね。
つまり、スポーツというのは、精神的、肉体的に鍛え上げられるだけでなく、社会に出てからぶつかる壁を乗り越える手段を自ら導き出す為の訓練なのです。
まとめ
今日は文武両道という言葉について考えてみました。
元々、文武両道と言う言葉は文事・武事の両方に優れた人のことを言っていましたが、最近では武事をスポーツに置き換えています。
そして、文事というのは勉強のことだけではなく、絵画や華道、茶道や和歌といった文化的な事柄を表しています。
文事と武事の両方を兼ね備えた人こそが本当に素晴らしい人だということですね。
そう言えば、私がまだ学生だった頃、剣道の強い学校と言えば
- 進学校
- 剣道を専門的にやっている人
のどちらかでした。つまり、中途半端な学力の学校は勝ち上がっていなかったということになります。とても不思議だったのですが、ようやくその訳がわかりましたね。
進学校の剣道部こそ、文武両道を目指す人達だったのです。
近江聖人と言われた中江藤樹は
「武なき文、文なき武は共に真実の文ではなく、武でもない」
と言われたそうです。つまり、文事によって緻密な戦略を立て、その戦略に沿って武事を実践することが重要だということです。
文と武は切っても切れない関係だということですね。
こちらの記事も参考にしてください。
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コメント
文武両道とは、周の文王、武王の政治から出た言葉と言われてますが。
「文芸と武道」とは意味が違うのではないでしょうか?
西村さん
コメントありがとうございます。
私自信、勉強不足で申し訳ありません。
確かに、中国の「文武之道」という言葉は文王と武王が行った理想の政治を表す言葉だということまではわかったのですが、その言葉が文武両道と繋がっているのかということまでは確認ができませんでした。
引き続き調べてみたいと思います。
先ほどの件は、堀景山の不尽言をご覧ください。「文武二道」
西村様
更に詳しいコメントありがとうございました。
しかしながら、「堀景山の不尽言」をネットで検索してみましたがそれらしい説明は見つかりませんでした。機会がありましたら図書館などで調べてみたいと思います。