少年団の稽古を終えた小学6年生のD君。少しすっきりしないような表情です。
それだけ言われても難しいね。
というわけで、今日は
剣道において相手の中心を取る
ということについてじっくり考えてみたいと思います。少しでも小学6年生のD君が理解してくれるといいのですが・・・
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剣道における「中心」って何?
恐らくA先生がD君に言いたかったのは
ということではないでしょうか。私はA先生ではないので、推測でしかありませんが、大きく外れてはいないでしょう。
しかし、非常に曖昧且つややこしい表現が「中心」という言葉ですね。剣道をしていると、似たような言葉をよく耳にしませんか?それは「正中線」です。
「中心」と「正中線」は似ているように思えますが、実はちょっと意味が違うようです。
っていう疑問が湧いてきますよね。正中線というのは、
『前面・背面の中央を頭から縦にまっすぐ通る線』
のことなのですが、A先生が仰っていたのは正中線ではありません。正中線をお互いに取り合うということは剣先が真っ直ぐになった方が勝ちということになりますよね。それも一つの方法です。
しかし、正中線ではなく、中心を取るという考え方をすると、剣先を抑えられて自分の正中線上に相手の剣先を置かれたとしても中心を取り返すことは可能なのです。
話がややこしくなってきましたので、解り易く説明したいと思います。
例えば、スイカを思い浮かべてください。別にリンゴでも梨でも良いのですが、丸い果物が解り易いでしょう。
スイカは縞模様なので逆に解り辛いかもしれませんが、上の写真を見ると、頂点のところに穴がありますよね。軸の部分ですね。ここから球体の正反対(真下)に一本鉄の棒を挿すようなイメージをしてみてください。
その棒がスイカの中心ということになります。
つまり、対戦相手がスイカだった場合、この棒を目掛けて上から下に斬るイメージで面を打てば良いという話なのです。その為に自分の剣先の延長線上にスイカの中心があるということ。A先生がD君に求めていたのはそういうことだったのです。
そして、打つ時には自分の正中線に沿って竹刀を振りかぶり、振り下ろす。そうすれば刃筋正しい打突ができるということになります。決して相手の正中線を打たなければならないという話ではありません。
ややこしいですが、重要なので覚えておきましょう。
では、問題は
という部分ですね。その点については次の章で見て行きたいと思います。
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中心を取るにはどうすればいいの?
剣道で相手より少しでも有利な状況を作るには無理・無駄を省いていかなければなりません。例えば同時に面を打った場合を考えてみましょう。無駄の無い軌道、つまり竹刀の軌道が最短距離の方が速いというのは感覚的にわかりますよね。
ですから、構えから打突に至る部分は特に無駄の無い動作であることが理想的です。
つまり、自分が打つ時に有利な条件というのは、
- 自分の剣先が相手の中心に近い
- 相手の剣先が自分の中心から遠い
ということになります。その為に中心を取りましょうという話ですね。
では、相手の中心を取ろうとした時、竹刀には幅があるので
- 相手の剣先を自分の剣先で抑える
- 相手の剣先を少し横にずらす
ということができれば良いのですが、実際問題として難しいですよね。なぜなら、相手も同じことを考えているから。更に、剣先で抑えるということは腕に力が入ってしまうので、そこから瞬時に打突動作に入ることが難しくなります。
では、どうすれば良いのかという話になります。そこで重要なのが足です。
スイカをイメージしながら、先程の中心の話を思い出してください。
通常、お互いに真っ直ぐ構え合っている場合は上のスイカのイラストで言うと目と目の間の縞模様を打とうとしますよね。でも、ここは相手も同じ場所で中心を狙ってくるのでちょっと難しい場合があります。
その場合は、右目、あるいは左目のところにある縞模様を狙ってみましょうという話ですね。その時に足を使って、体捌きで右または左に体を開きます。そして自分の剣先が相手の中心の延長線上に乗るように持って行くんですね。
これなら相手の剣先は自分の中心から外れますよね。しかも、こっちは中心を取ってる状態です。画期的だと思いませんか?
実はそんなことはないのです。実際に高段者の先生方は皆さんこのようにして中心の取り合いをされているのです。
剣道は前後の直線的な動きだけでなく、左右も使えるようになると攻めの幅がグンと広がります。
頭ではわかっていてもなかなかできないかもしれませんが、是非普段の稽古に取り入れてみてください。但し、基本稽古の時に大きく体を捌いたりすると、指導者の先生によっては「横に逃げるな!」と叱られるかもしれませんので、その点は注意しましょう。
まとめ
今日は剣道における中心ということについて考えてみました。もう一度記事をおさらいしてみましょう。
剣道で言うところの中心とは、頭の頂点から真っ直ぐ床に突き刺した棒だと考えましょう。そして、重要なのは、真正面だけでなく左右からも中心を打つことができるというところです。
ですから、剣先で相手の剣先を抑えて強引に中心を取りに行くばかりではなく、足を使って左右の体捌きで相手の中心を取るということを覚えると良いでしょう。
というのがD君にも良く理解できたと思います。
そうすれば、苦手な相面も少しは苦手じゃなくなるかもしれません。あっ、これ、私の話ですね。
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