でも、不器用だからできないと思います。
払い技に良く似た技で、巻き技というのがあります。巻き技は確かに難しいのですが、払い技に関する基本動作はそれ程難しいとは感じません。巻き技に関しては以前記事にしていますので、ご覧ください。
今回は、巻き技ではなく払い技に着目して掘り下げて行きましょう。というわけで、今日は
剣道の払い技のコツをどこよりも詳しく解説!
というテーマを取り上げてみたいと思います。払い技マスターの管理人が、あなたに払い技の全てを伝授したいと思います。なんて言ってみましたが、払い技って意外と有効打突にするのが難しいですよね。たかが払い技、されど払い技という感じです。
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剣道の払い技について説明してみよう!
払い技について簡単に説明すると、相手の構えに隙が無い場合に竹刀を払うことで隙を作り出し、打突をする技のことです。但し、剣道の場合は払う動作一つをとってみても、単純に一つではありません。
払うという動作には、大きく分けると次の2種類の払い方があります。
- 表から払う
- 裏から払う
更に、それぞれについて、次の2種類の払い方があります。
- 上から下に払う
- 下から上に払う
- 横方向に払う
但し、横方向に払う方法に関しては先生から教わった記憶がありません。(笑)先輩がずるい技を使っていたのを見て真似をした感じですね。ですから、横方向を除外した4種類の払い方があるということになります。
また、剣道の技には「面」「小手」「胴」「突き」の4種類があるので、4×4=16種類の払い技があると認識しておきましょう。しかし、どんなに払い技の得意な人でも常に16種類の払い技を使う人はいません。自分の得意な技だけを使えば良いのです。
では、払い技の注意点とコツについて考えてみたいと思います。
払い技の注意点
木刀による企保技稽古法の基本3「払い面」をご存知でしょうか?木刀による基本技稽古法に関してはこちらの記事を参考にしてください。
基本3はとっても簡単な技に思えますが、実はこの技には多くの人が見落している注意点がありました。解説書を読んでみましょう。解説書にはこう書かれてあります。
「掛り手」は右足を1歩踏み出しながら、木刀の表鎬を使って払い上げて相手の構えを崩し、そのまま正面を打つ。
答えは「1歩踏み出しながら」というところです。つまり、払う動作よりも足の方を先に動かすということですね。ですから、払うという動作は、打突の途中でちょっとだけ寄り道するイメージなのです。
特に下から上に払い上げる場合は円弧を描く(半月を描く)ような気持ちでと言われます。決して大きく横に払うのではなく、ほんの少しだけ寄り道するということを覚えておきましょう。
では、払い技を上手く決めるコツについても考えてみましょう。
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払い技を決める3つのコツ
払い技を上手く決めるコツとしては次の3点。
- 払い技を打つタイミング
- 相手によって使い分ける
- 払う動作は右手を返すイメージ
では、具体的に見て行きましょう。
払い技を打つタイミング
実は、払い技というのは相手が気の充実している状態の時に出そうと思っても実際にはなかなか有効打突にはなり難いでしょう。竹刀を払うことで構えは崩れますが、気が充実している状態ではその後の打突を避けられてしまうのです。
では、避けられないようにするにはどのようなタイミングで打てば良いのでしょうか?それは打つべき機会と同じようなところなのです。つまり、次の2つ。
- 前に出ようとしたところ
- 居着いたところ
前に出ようとした瞬間に竹刀を払われると、その後の打突を避けることが難しくなります。体は前に出ようとしているので、対処ができないのです。
また、払って面を打つと思わせることができれば、小手や胴が無防備になります。気で攻め勝っている状態で、払うことによって相手の心を居着かせることができれば思う壺ですよね。
しかし、いつも同じようなタイミング、同じような払い方をしていてはすぐに対応されてしまうことになります。臨機応変に相手によって使い分けることも必要です。
相手によって使い分ける
稽古をしていると、あなたも握りの柔らかい人と硬い人がいることに気が付くのではないでしょうか。構え合った時に、相手の竹刀を少し触れてみたり、軽く押えてみたりするとわかると思います。
払い技のコツとしては、相手の握りが柔らかいか硬いかということで使い分けるのがコツです。これは一つのパターンですが、下に示すような使い分けをすると良いでしょう。
- 握りの柔らかい人:払ったらすかさず打つ
- 握りの硬い人:払った竹刀が返ってきたところを打つ
握りの硬い人の場合は、払った竹刀をすぐに戻そうとしますが、勢い余って元の位置を超えてしまうことが多いでしょう。例えば、
- 表から払う
- 竹刀が返って来て小手が空く
- 小手を打つ
という感じです。逆に、握りの柔らかい人の場合は払ったらそのままの状態となるので、竹刀を戻される前に打突することが重要です。
また、払い方についても、強弱を付けて色んなパターンを試してみるのも良いでしょう。
ちなみに、私の先輩の得意技は、表から真横に払って竹刀が返ってきたところを小手という姑息な技でした。しかも、現役時代はその技だけでかなり勝っていたそうですので、一度試してみるのも良いかもしれません。おすすめはしませんが。(笑)
払う動作は右手を返すイメージで!
では、実際に払う動作についてのコツをこっそり教えましょう。これはとある講習会で範士の先生がこっそり教えて下さったので、ここだけの秘密にしておいてください。(笑)
これは払い上げる動作限定のコツになります。
- 表から払う:右手の掌を上に向けながら払う
- 表から払う:右手の手の甲を上に向けながら払う
簡単ですね。言われる前からそうやってると言われそうですが・・・
ところで、「表」と「裏」ってどういうことかご存知でしょうか?
剣道における「表」と「裏」について
木刀による基本技稽古法の基本3に「払い面(表)」という技がありますが、その場合は自分から見て左側の鎬(しのぎ)を使って払うという動作になります。ですから、単純に自分から見て竹刀(木刀)の左側を表、右側を裏という風に覚えているかもしれません。
実はこれにはちゃんと理由がありました。
構える前の状態をイメージしてください。提げ刀または帯刀の時ですね。その時に体の外側になるのが表、内側になるのが裏というのが正しい認識です。
結果的に同じことを言っているのですが、表と裏という言葉は色んな場面で使用するので覚えておいた方が良いと思います。
ところで、「払い」と「すり上げ」ってどう違うのでしょうか?
「払い」と「すり上げ」の違い
では、「払い技」と「すり上げ技」の違いについて考えてみましょう。すり上げ技についてはこちらの記事に記載していますので、参考にしてみてください。
「払い」と「すり上げ」の違いは竹刀と竹刀(木刀と木刀)の接触している時間(または面積)の違いです。
言いたいことは伝わったでしょうか?
イメージ的に言うと、払いは「パンッ」という感じで、すり上げは「スッ」という感じでしょうか。まだ伝わっていないでしょうか・・・つまり、払いは点で接触しているのに対して、すり上げは面で接触していると言っても良いかもしれません。
何となくわかって頂けました?それがわかったからと言っても何かの問題が解決するというわけではないので、イメージとして持っておくと良いと思います。
ですから、応じ技の「面すり上げ面」や「小手すり上げ面」なんかは竹刀を「パンッ」と払うのではなく、「スッ」とすり上げる技ということになります。余計にややこしいですか?(笑)
まとめ
今日は、剣道における払い技について考えてみました。構えを崩さない人との稽古ではどうすることもできないということもありますよね。そんな時に、突破口の一つとして払い技を使うと良いのではないでしょうか。
では、記事を振り返ってみましょう。
竹刀を払う方法としては、主に以下の4パターンがあります。
- 表を上から下に払う
- 裏を上から下に払う
- 表を下から上に払う
- 裏を下から上に払う
更に、「面」「小手」「胴」「突き」の技と組み合わせると16種類の払い技となります。
また、払い技を上手に決めるには次の5つのポイントを抑えておくと良いでしょう。
- 払う時は足を踏み出しながら
- 下から上に払い上げる場合は円弧を描く(半月を描く)ように
- 払い技を打つタイミングは出る瞬間または居着いたところ
- 相手の握りによって使い分ける
- 払う動作は右手を返すイメージ
さぁ、あなたも明日の稽古で払い技を使ってみましょう!
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