少年団の稽古で腹痛を訴えて稽古から離脱したヒロ君。
どうすればいいんですか?
上手い人の技を見て盗む。見取り稽古というのは実に合理的な稽古方法だと思っているのですが、なかなか実践は難しいですよね。
私の先輩で、五段の審査で数回不合格になり、その後、癌の手術の為にしばらく稽古を休んでおられましたが、退院してから数か月間の見取り稽古をしていたそうです。そして、その後に五段の審査で合格され、六段も一回目の審査で合格されました。
全ては見取り稽古のお陰だということでしたが、見取り稽古の方法を間違うとそんなに上手くはいかなかったでしょう。ですから、今日は
見取り稽古の意味とそのポイントを確認しよう!
というテーマを記事にしてみたいと思います。実は私も見取り稽古は苦手。これを機会に正しい見取り稽古の方法を身に着けたいと思います。
SPONSORED LINK
見取り稽古の本当の意味
見取り稽古と言うことに関して、なかなか面白い内容の動画がありました。まずはこちらの動画をご覧ください。
見取り稽古を脳科学のミラーニューロンという観点から考察されるという、斬新な発想です。つまり、他の人を見ていると同じような動きになってしまうということです。
そう言われれば心当たりがありますよね。とある剣道大会で、あるチームの子供達が全員同じような剣風だったので、不思議に思ったらそこの指導者も全く同じ剣風だったなんてことは良くある話です。これも恐らくミラーニューロンということなのではないでしょうか。
指導者によく似てくるというのは、見取り稽古の賜物ということですね。
しかし、
- 自然に見たことを鏡のように同じ動きをする
- 意図的に見取り稽古をする
という意味はほんの少し違うように思いませんか?今回のテーマである見取り稽古はきちんと意識して見て、良いところを学ぶという意味です。
元来、稽古という言葉の意味は古(いにしえ)を考えるという意味。つまり、古くから伝わってきている技術を自分で考えて実践することに意味があります。その考えるという過程で他の人の動きをよく見るということが必要です。
宮本武蔵という剣豪をご存知でしょうか。宮本武蔵が書いた五輪書という有名な書物の中に、
という言葉がありますね。剣道用語で言うところの観見の目付(かんけんのめつけ)ということになります。この場合の観の意味は洞察力を表しています。つまり、相手が何を考えてどのように動くのかということを感じ取ることが重要なのです。
ですから、見取り稽古の本来の意味・目的はそこにあるのではないでしょうか。しかし、それはなかなか難しいですよね。ですから、具体的にどのように見取り稽古をすべきなのか具体的に考えてみたいと思います。
見取り稽古で着目すべきポイントを挙げてみました。
- 足さばき・足の運び方
- 体さばき
- 打突前の剣先の動き
- 間合い
- 打突・打ちの強さ
- 残心
では、もう少し詳しく見ていきましょう。
SPONSORED LINK
見取り稽古は打突前の動作が重要
剣道は相手を打つよりもむしろ打つ前の動作の方が大事でしょう。『打って勝つな、勝って打て』という言葉があるように、相手との攻め合いに勝ってこそ剣道であると言えるでしょう。
と言う先生も居られるように、剣道はいかにして相手を攻め崩すかということが大事です。
ですから、自分より強い人の見取り稽古をするときには、まずどのように攻めているのかを良く見て観察することから始めましょう。それには、
- 間合いの盗み方
- 剣先の動き
をよく見るのが良いでしょう。特に強い人の打突直前の足さばきを見ると凄く勉強になりますので、是非強い人とそうでない人との違いを見比べてみましょう。
そして、打突直前の剣先の動きにも注目です。剣道の攻めの定石は虚を攻めて実を打つと言われます。簡単に言うと、面をを攻めて小手を打つ、小手を攻めて面を打つようなイメージですね。
ですから、強い人は実際はどのように攻めているのかということが見取り稽古の第一の鍵になるでしょう。その時のお互いの心理状態も予想しながら見るというのも面白いと思います。
では、次に打突動作です。
強い人の打突を見て学ぼう!
強い人の打突動作のどこを見取り稽古すれば良いのでしょうか?私が考えるのは次の3つのポイント。
- 太刀筋
- 打突の強さ
- 打突の冴え
これも強い人とそうでない人の打突を見比べてみましょう。無駄のない太刀筋、大きく打っているのか、小さく打っているのか。また、どのような場面でどのような打ち方をしているのかなどを見ると良いでしょう。
そして、その打突が当たる瞬間の強さ、そして打突の冴えという部分も大切ですね。特に打突の冴えと言う部分はなかなか言葉では説明し辛い部分ですので、上手い人の手の内、手首の動きをよく観察してみましょう。
更に、打突後の残心。強い人はどうしているのでしょうか?
打突後も攻撃的精神の持続が大事!
剣道の有効打突の要素の一つとして挙げられるのが残心です。残心については別記事にて詳しく説明していますのでこちらの記事もご覧ください。
>>剣道の残心って何?本当の意味を知ってますか?
大切なのは打った後も次の攻撃に備えること。油断をせずにすぐに次の打突ができる態勢になっているかどうかというところですね。
これについては高段者の先生の稽古を見取り稽古すると良いでしょう。打った後に全く気を抜く気配が感じられないと思います。正に、攻撃的精神の持続というやつですね。
形だけの残心にならないということが重要です。非常に難しいと思いますが、自分が稽古しているようなイメージで観察してみてください。
まとめ
今日は見取り稽古の意味について考えてみました。いかがでしたか?昔の武道や芸事の稽古は見て盗むということがとても大事なことでした。現在はそのような傾向は薄れてきていますが、やはり見るということ、見取り稽古はとても大切なことではないでしょうか。
では、もう一度見取り稽古をする意味についておさらいしてみましょう。
見取り稽古で最も重要なことは、自分が稽古している立場と置き換えて、相手が何を考えてどのように動くのかということを感じ取ることが重要ではないかと思います。
その為に、以下のポイントを重点的に観察すると良いでしょう。
- 足さばき・足の運び方
- 体さばき
- 打突前の剣先の動き
- 間合い
- 打突・打ちの強さ
- 残心
自分だったらどのように勝負するのか、一本にならなかった打突は何が足りなかったのか、どうすれば有効打突を取れるのか。そのようなことを考えつつ、上記のポイントを見ることをおすすめします。
また、元立ちに対して参加者が多い稽古会などの場合には稽古の待ち時間が多いこともありますよね。そんな時にも、ただ列に並んで待っているだけではなく、元立ちの先生の一挙手一投足を見逃さないように、また強い選手の攻め方、入り方などを見取り稽古して、自分の稽古に活かしていきましょう。
SPONSORED LINK
コメント