ブログの方にちょくちょく登場するM先生は五段挑戦中の50代の男性です。娘の昇段審査の時や私が立ち会い係を勤める時には審査会場で応援をしているのですが、なかなか受からないようです。
もうちょっとですかね。あと3回くらい受けたら受かるかもしれませんよ。(笑)
全然ダメじゃないですか!!
M先生は五段に挑戦し始めてから3年くらい経っているので、そろそろ受審回数も二桁突入かもしれません。でも、偉そうに言ってる私も15回目でようやく合格できた、超劣等生ですからね。しかし、不合格回数が多かったので、どうすれば合格できたのかということに関しては他の人よりは理解しているつもりです。
というわけで、今日は
剣道五段の審査が受からないのは何故?どうすれば合格できる?
ということについて考えてみました。但し、この記事は五段の審査で少なくとも3回以上受からなかったという経験をされている方にだけ読んで頂きたい内容となっています。ですから、まだ五段の挑戦経験が浅いという方は、是非この記事を読まずに挑戦して頂きたいと思います。
しかし、逆にあなたが何度も五段の審査で不合格を経験していて、
- 何かが足りない
- 今までの稽古を続けているだけでは合格できそうにない
- 色んなことを言われてわけがわからない
- いつも相手が強過ぎて・・・
と感じるのなら、記事を読み進めてください。但し、この記事は審査員の目ではなく、完全に私の主観なので信じる・信じないはあなた次第です。
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剣道五段は四段の延長線上にある?なぜ受からない?
四段に合格し、四年が経過すると五段の受審資格が得られます。M先生も、そのタイミングで五段審査を受けられたようです。勿論、私もそうしました。しかし、受審資格を得られたからということで合格できるのなら、四段と五段の違いって何だ?という話になりますよね。
実は、私自身も四段と五段の違いについては全く分かっていませんでした。全日本剣道連盟にはこのように書かれています。
- 四段は、剣道の基本と応用を修熟し、技倆優良なる者
- 五段は、剣道の基本と応用に錬熟し、技倆秀なる者
良く分かりません。(笑)四段と五段では基本と応用の錬度が違うということは何となく理解できます。では、四段に合格した時よりも基本技と応用技の精度が増せば良いということでしょう。まずは四段審査についてこちらの記事でおさらいしておきましょう。
つまり、四段の審査と同じように、「攻めて相手を引き出す」ということと「相手の打突をさばく」ことがより求められることになります。
しかし、四段の審査と五段の審査を見ていると、明らかに立ち会い時の会場雰囲気が違うことに気が付きました。五段合格者の立ち会いでは縁が切れることが少ないということです。
ですから、私が感じた四段と五段の違いは次の3点。
- 攻めて相手を引き出すことをより高い精度で実現する
- 技の繋ぎを意識して常に攻め続ける
- 攻めることで相手に有利な状況を作らせない
では、もう少し詳しく見ていきましょう。
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剣道五段の攻め方はコレ!相手を引き出すことをより高い精度で!
実は、既に六段合格の秘訣ということで、過去に記事を書いていますが、五段の審査でも同様のことが求められると考えます。六段審査に関してはこちらの記事を参考にしてください。
上記の記事の中でも紹介していますが、百秀武道具店の動画が秀逸ですので是非ご覧ください。
最初に立ち会い動画を見た時と、2回目に見た時では印象が全く違っているのではないでしょうか?ちょっと解説が入るだけでこんなにも人の目って変わるものなのだと驚かされますよね。
さて、あなたは動画をご覧になってどう感じましたか?相手より先に一歩入ることがどれだけ重要かということが良く分かったと思います。攻め方というのは色んなパターンがあると思いますので、その中の一つのパターンに過ぎないのかもしれません。しかし、相手より先にという部分が重要ですね。
相手より先に間合いに入ることで、主導権を握ることができます。つまり、「先(せん)」を取っている状態を作り出せるということですね。先(せん)についてはこちらの記事も参考にしてください。
3つの先の中では後の先に該当すると思いますが、先に間合いに入って相手に打たせるという技術です。ただ単に相手が打ってくるのを待っているわけでは無く、相手を誘うということが最も重要な部分ですね。四段で必要とされる「相手を引き出す」という部分をより高い精度で表現することができれば言うことがないでしょう。
上記の動画を見ていると、もう一つ気が付くことがあるのではないでしょうか。それは、打った後に顕著に表れています。
五段の審査では技の繋ぎが重要!残心を表現せよ!
あなたも、機会があれば四段の審査と五段の審査を見比べてみてください。明らかに違うと気付くのが残心です。正直、四段・五段ともなると残心という言葉は聞き飽きているかもしれません。しかし、本当の意味を理解できていないという人も多いのではないでしょうか。
今一度、残心について考え直してみましょう。残心とは、打った後も相手の反撃に備えておくという心構えのことです。残心についての詳しいことはこちらの記事を参考にしてみてください。
ただ、言葉でわかっていてもなかなか上手く表現できていないという人も多く見受けられます。私自身も未だに打突後に気が抜けてしまうことがあり、日々反省・・・という感じですね。
では、どうすれば残心を表現することができるのでしょうか?それは、技の繋ぎです。三段以下の審査では顕著なのですが、四段審査でもよく見られるのが、
- 打った後に遠くまで打ち抜ける
- 振り向いて構えるだけ
という状況です。しかし、五段に合格する人の立ち会いを見ているとそうではありません。打突後には既に次の打突に備えた姿勢になっているのです。つまり、縁が切れないということですね。
という感じで、気持ちと技を繋いでいくのです。
例えば、出小手を打って上手く決まった時を考えてみましょう。
と満足していてはいけません。小手を打って振り向いたところがチャンス。そこを更に攻め立てるわけです。抜き胴や返し胴なんかは更にチャンスです。打った後、すぐに振り向いて一歩入る。そして、更に攻めるのです。
打突後に振り向いて構えて満足される方が多いのですが、そこで満足してはいけません。重要なのは更にその先。前述した攻めにも繋がってきますが、相手よりも先に有利な状況を作り出す必要があるのです。そうすれば、自ずと相手より格上と見なされるでしょう。
但し、焦りは禁物です。そこが難しいところかもしれませんが・・・
そして、相手よりも格上に見せる為には相手に打たせない・打たれないということも重要です。
攻めることで相手に有利な状況を作らせない
四段審査に関する記事でも書いているのですが、相手に打たれないということも重要です。相手に引き出されるということは、相手の攻めが効いているということ。つまり、相手の方が格上だということですよね。それでは五段合格は難しいでしょう。
ですから、
- 有利な状況を作らせない
- 相手に技を出させない
- 相手の技を凌ぐ
ということを意識しましょう。実は、これらのことも、自分が先(せん)を取って攻めることができれば良いというだけの話。常に立ち会いの主導権を握り、相手をコントロールすることができるなら打たせないということに関しては意識する必要が無いかもしれません。
まとめ
今日は、剣道五段の審査について考えてみました。私自身、四段が合格すれば普通に稽古を続けているだけで五段も合格できるという甘い考えを持っていたのですが、結果的に凄く苦労してしまいました。実は、私の周りには五段で苦労されている先生方が意外と多くて驚いています。
しかし、受からない原因さえわかれば対策は簡単。あなたも、努力次第で合格することができるでしょう。
では、もう一度五段の審査を受審する時の私が考えるポイントを整理しておきます。大切なことは次の3点。
- 攻めて相手を引き出すことをより高い精度で実現する
- 技の繋ぎを意識して常に攻め続ける
- 攻めることで相手に有利な状況を作らせない
特に重要だと感じたのは、残心です。小学生に残心を指導する時には形だけを指導するかもしれません。しかし、形だけでは不十分。振り向いた瞬間には既に次の技が始まっていると考えるのが良いでしょう。
実は、私が五段審査で不合格の山を築いた最も大きな原因が残心だったと思っています。つまり、技の繋ぎです。わかり辛い場合は、高段者の先生との稽古を思い出してください。振り向いた時点で既に攻め込まれていると感じることが無いでしょうか?それをイメージして、稽古することができれば、あなたの剣道は大きく変化するでしょう。
五段の審査は各地方で受審する最後の段ということで、合格すれば次は全国審査が待っています。地方審査で苦労するのと全国審査で苦労するのではどちらの方が良いでしょうか?私は断然、地方審査で苦労する方が良いと思っています。なかなか受からないという状況が続き、完全に心が折れ掛けたのは確かです。
しかし、五段に合格した時は、自分を信じて稽古を続けてきて良かったと思いました。劣等生にとっては感激の瞬間でした。ちなみに、六段審査は一発合格してしまったので、特に感動がありませんでした。(笑)
五段に合格したあなたの剣道を想像してみましょう!
何度も審査を受けていると、何が良くて何が悪いのかも解らなくなってきます。どんどんマイナス思考になり、悪循環になりますよね。少しでもあなたのヒントになれば幸いです。
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