そこから打突に繋げればいいんじゃないですか?
小さな子供の試合を見ていても、すぐに防御をする子って居ますよね。剣道で防御の方法なんて教えられていないはずなのに。もしかすると、人間の本能で避けているのかもしれません。
というわけで、今日は
剣道の試合で使える防御の仕方!
について考えてみましょう。私自身、剣道の防御については今まで考えたことがなかったので、良い機会だと思いました。但し、防御ということに関しては賛否両論あるかもしれませんので、あくまで参考程度にしてください。
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剣道における防御の仕方とは
前述しましたが、私の知っている範囲では剣道で防御の仕方について教えているということを聞いたことがありません。もしかすると、試合で勝つことに拘っている中学や高校では防御についても教え込まれているかもしれませんが、残念ながらその辺りの情報は入手できませんでした。
というのも、剣道では防御ということに関しては悪いイメージが非常に強いのです。一時期流行った「三所隠し」や「三点防御」、「三所避け」などと呼ばれる防御方法がありますが、現在では反則扱いとなっています。
また、面・右小手・右胴を打たれないようにすることで、突き・左小手・左胴に隙ができるので打ちたい放題。しかも相手は防御姿勢なので、攻撃している選手の方が圧倒的に有利な状況です。つまり、剣道では完全な防御の仕方というのはありません。
ですから、今回は防御の仕方についての記事を書こうと思ったのですが、上手く言葉にできずに困っていました。そんな所に、YouTubeから新着のお知らせが・・・
私の気持ちを知ってか知らずか、タイミング良く防御についての動画が届きましたので一緒に見てみましょう。
第1段階の防御の仕方を見て、
と思ったのですが、第2段階を見てガッカリでした。明らかに駄目な防御の例ですよね。打たれ難いかもしれませんが、完全に構えが崩れてしまっているので「良い子のみんなは真似しちゃダメだぞ!」っていうやつになってます。
何がダメなのかと言うと、剣道では「懸待一致」が良いとされているからです。「懸中待」「待中懸」などとも言われますが、解り易い言葉で言うと「攻防一致」です。
つまり、攻撃と防御が一致している、「打ってよし、返してよし」と言う状態が好ましいとされています。
そう考えると、先程の動画で紹介されていた防御の仕方はどうでしょうか?第2段階の防御の状態から攻撃が仕掛けられるとは思えませんよね。だから、あんなことをしていたら先生から厳しく指導されること間違いなし!
では、実際に剣道の防御の仕方はどのようにすればよいのでしょうか。防御方法としては次の3点です。
- 足でよける
- 竹刀でよける
- 体でよける
では、それぞれについてもう少し詳しく見て行きましょう。
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剣道は足だ!自由自在の足さばきを使って防御しよう!
剣道では上半身よりも下半身、つまり足さばきが重要だと言われます。足さばきが上手な人は攻撃も上手だということは当たり前ですが、実は防御に関しても上手なのです。
相手が単純に打ってくる場合には、足さばきだけで防御ができます。相手の打突を有効打突にしない為には、次の3つの方法があります。
- 開き足などを使って左右に開いて避ける
- 後ろに下がって間合いを切る
- 前に進んで間合いを詰める
但し、これらの動作を防御だけに利用するのは勿体無いですよね。構えを崩すことなく足さばきだけで避けることができれば、すぐさまそこから攻撃に転じることも可能です。
相手の打突の軌跡が把握できているのなら、そこから攻撃を仕掛けましょう。
しかし、相手の打突が速い場合や気付くのが遅い場合は足だけで防御をするのは不可能。そんな時は竹刀を使って防御をしましょう。
足だけでは避けきれない場合は竹刀を使っての防御を!
実は、剣道においては打突より防御の方が速いというデータがあります。例えば面打ちは技の起こりから打突までには約0.4秒掛かります。しかし、防御に掛かる時間は約0.2秒。
どうやらこれには反射が大きく関係しているので、咄嗟に防御姿勢を取ることができるらしいのです。ですから、普通に面を打っても当たらないのは当然!打ち出しと同時に防御をする場合に関しては防御の方が圧倒的に有利だったのです。
しかし、防御反射で防御をすることは非常に危険。剣道の場合は必ず逆を突かれることになるでしょう。つまり、相手が打突動作に入る前に反射的に面を避けると小手や胴に隙ができます。これは攻めのセオリーですよね。
ですから、
竹刀を使って防御をする場合は、相手が打突動作に入ってから!
ということになります。そして、竹刀を使った防御のコツとしては次の3つ。
- 相手が打ち込もうとする瞬間にいなす
- 相手の打ち終わりを受ける時は竹刀の鎬(しのぎ)を使う
- 竹刀の打突部(物打ち)付近を使う
- 体さばき(足さばき)を使う
一番大事だと思うのは、鎬(しのぎ)を使って受けるということではないでしょうか。刃で受けてしまうと、次の攻撃に繋げることができず、受けるだけになってしまいます。鎬を使って受けるには、体さばきも重要なポイントとなってきますので、全て繋がっていると考えるのが良いでしょう。
では、最後に体を使って防御するということについて考えてみましょう。
体全体で防御?そんなことできる?
体で避けるというと、首を曲げたり上半身を曲げたりして相手の打突を避けるイメージが強いかもしれません。実際に試合や稽古ではそういう人も居られますよね。しかし、こういった避け方はおすすめできません。
では、どうすれば良いのか。鍔迫り合いです。勿論、鍔迫り合いが完璧な防御とは言えません。しかし、高校の大会などで強豪校の団体戦などを見ていると、一本を守るのが凄く上手いですよね。大会のスコアを見ても接戦をものにして行くようなイメージが強いです。
そして、見ていると鍔迫り合いに持ち込むのが上手い。但し、これは正しい剣道という観点から見ると、決してそうではないでしょう。
高校剣道で鍔迫り合いが厳しいのは何故?
強豪校の団体戦を見ていると、一本取った後や引き分けを狙うときは相手にくっつく作戦を取っているように見えます。それは監督の指示ではなく、各々が見出した技なのかもしれません。しかし、安易にくっつき、そのまま攻撃に転じないような場合には反則を取られるようになりました。
それは、いわゆる高体連ルールというものができたからです。高体連の鍔迫り合いに関する申し合わせ事項についてはこちらの記事を参考にしてください。
やはり、剣道の醍醐味は間合いの攻防。そして、一足一刀の間合いからの美しい打突にあるでしょう。攻撃をさせない為にくっついてばかりでは剣道の魅力が半減してしまいます。
ですから、防御の為には間合いを詰めてくっついたり、鍔迫り合いをするのも有効です。しかし、できることならすぐさま攻撃に転じるような努力をする方が良いでしょう。
では、防御から攻撃に転じるにはどのような方法があるでしょうか。
防御の仕方を学んだら、そこから応じ技に繋げよう!
さて、ここまで3つの防御の仕方について紹介しましたが、その内の「足を使う」「竹刀で避ける」という2つの方法はそこから攻撃に転じることが可能です。つまり、抜き技・すり上げ技が可能ということになります。
例えば、面を打ってきた相手に対して右斜め前に移動して避ける場合は面抜き胴や面抜き面が打てますよね。後ろに引いて防御する場合についても、相手の打突を抜いてから打突することが可能です。
そして、竹刀を使って防御する場合については、すり上げ技が可能です。すり上げ技についてはこちらの記事も参考にしてください。
特に個人的におすすめするのは、すり上げ技です。実は、数年前に参加した講習会で初めて「受ける稽古」というものをしました。相手の打突を竹刀で受けるというだけの稽古です。例えば、面打ちを表鎬で受ける、裏鎬で受けるという感じ。
ただただ受ける。打つ方が主役ではなく、受ける方が主役の稽古方法にびっくりしました。
しかし、その受ける稽古には続きがあり、受ける稽古をした後には「受けてから打つ稽古」に変わったのです。つまり、すり上げ技・打ち落し技ですね。例えばこちら。
- 面に対して:面すり上げ面・面返し胴
- 小手に対して:小手すり上げ面・小手打ち落し面
- 胴に対して:胴打ち落し面
すり上げ技のポイントとしては、前述した通り「物打ち付近で受ける」「鎬を使って受ける」ということです。そして、足さばきを上手く使って左右に移動することも必要でしょう。
まとめ
今日は、剣道における防御の仕方について考えてみました。あなたもご存知のように、剣道には防御のみに特化した技というのは存在しません。ですから、ただ防御姿勢で受けるだけでなく、次の打突に繋げることができるような防御の仕方が良いでしょう。それこそ、懸待一致です。
では、もう一度記事を振り返ってみましょう。
基本的な防御の仕方としては、次の3つの方法がありました。
- 足でよける
- 竹刀でよける
- 体でよける
特に、「足を使っての防御」「竹刀を使っての防御」ということに関しては、防御からすぐさま打突することによって、防御ではなく応じ技ができるようになります。
ですから、日頃の稽古の時にただ受けるのではなく、受ける太刀は返す太刀という意識で取り組んでみては如何でしょうか。但し、そうなってくると自ら攻めて先(せん)を取るという意識が必要になってきます。先(せん)に関してはこちらの記事も参考にしてください。
しかし、上の先生に稽古をお願いするときは、防御なんてことを考えているようではいけません。積極的に攻めて行きましょう。
ちなみに、最強の防御は中段の構えを崩さないことかもしれません。但し、相手の中心を制している場合という条件付きですが。私はいつの間にか中心を取られていて、それに気付かずに打たれることがあります。構えが全然できていないってことなのでしょう。反省です。
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