知ってるでしょ?教えてくださいよ~!
先生方によく言われますよね。個人的には、剣道をやっていてよくわからない言葉のベスト3(ワースト3?)に入るのではないかと考えます。というわけで、今日は
剣道の先(せん)って何?
ということについて考えてみました。剣道をする上で、先を取るということは非常に重要なポイントであることは良く分かります。でも、その「先」の正体は一体何でしょう?これを読めば、「先」ということについて何となくわかる・・・かもしれません。
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剣道における3つの先(せん)とは・・・
剣道において、機先をとることが最も重要と言われます。
何となくわかりますけど、具体的に説明しろと言われても難しいですね。
ということで、『機先』という言葉の意味について調べてみました。goo辞書には、このように書かれていました。
機先:
物事が起ころうとする、また、事を行おうとするその直前。
更に、よく聞く言葉で『機先を制する』という言葉の意味も出てきましたので参考の為に掲載しておきます。
機先を制する:
他より先に行って優位に立つ。
確かに、『先手を打つ』という言葉と非常に似ているようにも思えます。しかし、『先手』は、元来は碁や将棋などで先に打つことを言うのに対して、『機先』は、起ころうとする矢先のことを言うので、意味が違うようです。
機先を制するということは、優位に立つということ。単に先に動いているというだけではありません。相手より先に仕掛けて優位に立つということが重要なのです。
つまり、剣道における勝負の勝敗は機先を制することができるかどうかという部分で決まると言っても過言ではありません。
では、具体的にはどのようなものでしょうか。あなたも聞いたことがあると思いますが、剣道で良く聞くのが『三つの先(せん)』と言う言葉です。この三つの先は剣道を修業する上で、凄く重要なポイントです。三つの先とはこちら。
- 先々の先
- 先
- 後の先
では、それぞれについて具体的に見ていきましょう。
最も尊ばれる「先々の先」とは
これは、相手の気を早く察知して、相手が動くより先に打ち込んで機先を制すことを言います。『懸かりの先』と言われることもあります。
凄く分かり易い動画があったので、是非ご覧ください。
打たれた側の「やられた感」が凄いですよね。(笑)
このように、先々の先はお互いに先の気分で勝敗を争うとき、相手の起こりを早く発見して直ちに打ち込んで機先を制するものです。先々の先は相手の先より先ずるということで、剣道では最も尊ばれています。
例えば、あなたが相手と向き合った時、次のような状況があったとします。
- 相手と向き合った時、相手が間合いを詰めようとする
- 相手が打突をしようとする
これらの状況は目で見てわかります。しかし、先々の先は、これらの状況が起こる前、つまりまだ目に見えない心の動きを覚り自分から攻撃することを言います。『五輪書』で言うところの、「観の目つよく、見の目よわく」という部分ではないでしょうか。
相手の心が動いた瞬間を打つということですね。漫画のワンピースで言うと、『見聞色の覇気』でしょう。見聞色の覇気を磨くと少し先の未来が見えるようになるそうですよ。剣道でも相手の考えていること、打ちたいという心が見えればそこを打てるのですが、なかなか難しいですよね。読みや予測という部分が必要になってきます。
では、先々の先の具体的な技について考えてみましょう。打とうと心が動いたところを打つ技ということで、出端技ということになります。
- 出端面
- 出端小手(出小手)
もっと言えば、相手が出ようとする前に打つ飛び込み面ですね。先々の先の技は最も尊ばれるということなので、昇段審査などでも評価が高いでしょう。ですから、稽古の時でも常に先々の先の技を打つ心構えで取り組むのが良いのではないでしょうか。
出小手に関してはこちらに詳しく書いていますので、参考にしてみてください。
では、次に「先」について考えてみましょう。
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動いたら打つぞ!という心持ちの「先」
「先」は「対の先」「先前の先」とも言われ、相手の動きを察し、自らもそれに対する技を出すという技になります。色々な解釈の方法があるようですが、一般的には仕掛け技のことという解釈が多いでしょう。
例えば、「打つぞ!打つぞ!」という気持ちで攻め、相手が少しでも動けば、その瞬間にすかさず打つということです。少しでも下がれば打つ、出たら打つという感じですね。
つまり、「先」には打突の機会を逃さないという気力と気迫が重要!
では、『後の先』はどうでしょうか?
相手が仕掛けてきた時の「後の先」
後の先とは、相手が仕掛けてきたところを制して打突する技です。
つまり、互いに間合いに接して相手が打ち込んでくる太刀を押さえたり、打ち落としたり、払ったりして相手の技を殺し、更に相手の気勢がしぼんだ瞬間を見て、強く打ち込んで勝つということ。
後の先は相手の動きを待っているようにも見えるので、「待の先」とも言われます。しかし、決して待っているわけではなく、常に自分が先の気持ちで攻めることが重要です。相手が打ってきたら応じるという気持ちではうまくいきません。仮に、その技が上手く決まったとしても、剣道としては良い評価を受けない技になってしまいます。
また、相手の打突を返すので、反射によって機会を捉える理合とも言われることもあります。
具体的には、
- 相手が面を打ち込んできたときにすり上げて面を打つ
- 相手が面を打ち込んできたとき応じ返して胴打つ
などの応じ技です。前述しましたが、応じ技を上手く決めようと思ったら、自分から先をとって仕掛けなければなかなか成功しません。つまり、自ら攻めて、誘って、応じる、ということですね。ですから、最初から後の先ばかりを狙っていると待ってばかりで面白くないと言われることがあるので気を付けましょう。あ、私の事でした・・・
返し胴に関してはこちらの記事に詳しく書いていますので、参考にしてください。
いわゆる「待ち剣」と言われるのがこのタイプですね。私の場合は、待っているつもりは無いのですが、やっぱり待っているのかもしれません。反省です。
では、先について最も勉強できるのは何でしょう?実は、日本剣道形だったのです。
日本剣道形に見る「先(せん)」とは
日本剣道形における全ての技は打太刀が打ち込み、最終的に仕太刀が応じて勝っているので、一見全てが後の先の技のように思えます。しかし、日本剣道形の解説書を読んでみると、間違っていることに気が付くでしょう。具体的には、このように書かれています。
- 1・2・3・5本目:先々の先の技
- 4・6・7本目:後の先の技
但し、更に詳しく言うと、1・2・3・5本目は、「互いに先の気位で進み、先々の先にて仕太刀が勝つ』と書かれています。打ち太刀も先の気位。そして、仕太刀はその先を先ずる「先々の先」で勝つということが重要です。
更に、6・7本目についても同様に『互いに先の気位にて進み、後の先にて仕太刀が勝つ』とされているので、打太刀も先の気位が必要ということですね。4本目については構えが特殊なので「陰陽の構えにて互いに進み、後の先にて仕太刀が勝つ」と書かれています。
つまり、日本剣道形で重要なのは、打太刀も仕太刀も先の気位という部分ではないでしょうか。お互いが常に先を取るという気位。竹刀剣道でも同様ですね。但し、日本剣道形の先々の先と竹刀剣道での先々の先とは若干意味合いが違うのかもしれません。
その辺りが非常に難しいですよね。実は、日本剣道形における先というのは、「技における先」ではなく「機会における先」のことを言っているのです。ですから、日本剣道形で言うところの先々の先とは打太刀が機会を捉えるその先を行くということでしょう。正に難解。私もこの辺りの事はまだまだ理解できていないので、少しずつ勉強していきたいと思います。
まとめ
今日は剣道における「先(せん)」ということについて考えてみました。もう一度記事を振り返ってみましょう。
剣道では「先をとる」ということが重要と言われます。では、剣道における先とはどのようなことなのでしょうか。剣道には三つの先があります。
- 先々の先
- 先
- 後の先
まだ目に見えない心の動きを覚り自分から攻撃する技
相手の動きを察し、自らもそれに対する技を出すという技
相手が仕掛けてきたところを制して打突する技
しかし、言葉の意味がわかっても実現できなければ意味がありません。剣道は実際に身に着けてそれを実現できることが最も重要です。それには、常に先の気位で、稽古をすることです。
攻めて攻めて攻めまくりましょう!
剣道において先(せん)をとることの重要性について、何となくわかりましたか?私も3割くらいの理解度です。(笑)
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