刀関係の慣用句っていくつかありますが、あなたもご存じですよね?
と、ちょっと息子に小馬鹿にされてしまいました。中学校の国語の教科書に慣用句として『鎬を削る』という言葉が出てくるそうです。ちょっとびっくりしませんか?
慣用句と言えば、『鍔迫り合い』も剣道では良く使用する言葉です。鍔迫り合いに関してはこちらの記事も参考にしてください。
というわけで、今日は
『鎬(しのぎ)を削る』の意味と実践!
ということについて考えてみたいと思います。もしかすると、あなたは
なんて思っているかもしれませんので、その辺りも詳しく解説したいと思います。そして、鎬を上手く使うことができれば、剣道の応じ技も楽にできるようになるので、その辺りについても解説しましょう。
SPONSORED LINK
『鎬(しのぎ)を削る』の意味は?そもそも『鎬』って何?
まず、『鎬を削る』の意味はこちら。
例文としては、下記のようになります。
- 鎬を削る選挙戦だった。
- 鎬を削る攻防が続いた。
- ライバルと鎬を削り合う。
実は意外と漢字を間違って覚えている方がおられるようです。
- 誤:凌ぎを削る
- 正:鎬を削る
これは、物事を耐えて切り抜ける『凌ぐ』という意味だと捉える人が多く、上記のような間違いの元となっています。しかし、『凌ぎ』は間違いで、正しくは『鎬』。では、鎬とは何のことなのでしょうか。
鎬って何?語源は刀だった!
『鎬』とは刀の一部分を指します。解り易く図解しましょう。
つまり、刀の刃と峰の間で稜線を高くした所(丸みを帯びている部分)のことを言います。剣道の用語ではよく
- 表鎬(おもてしのぎ)
- 裏鎬(うらしのぎ)
という言葉が用いられます。表というのは、刀を構えた時に自分から見て左側、裏は右側のことです。
ですから、鎬を削るという言葉の本来の意味は、互いの刀の鎬が削れてしまう程の激しい衝突ということを表現しています。その意味が転じて、今では刀を使用しないような激しい争い(熱戦)の場面でも使用されるようになったということです。
鎬を削るって凄いことですよね。刀を扱った方なら良く解ると思いますが、刃はすぐに削れますが、鎬はなかなか削れるものではありません。せいぜい傷程度ですよね。それ程の激しい戦いだということです。
では、剣道において鎬というのはどのような場面で使用するのでしょうか。
SPONSORED LINK
剣道で鎬を削れば応じ技ができる!刃を使うのは間違い!
剣道で『鎬』という言葉が良く出てくるのが日本剣道形の小太刀の形です。特に小太刀の形二本目での鎬の使い方は非常に難しいですね。
言葉で説明するよりも動画を見た方が解り易いと思うので、こちらをどうぞ。
難しいのは打ち太刀の正面打ちを鎬で受け流すという場面。打ち太刀の刀を刃で受けてしまって指摘される方も多いでしょう。ちなみに、私はこれで模擬刀の刃をボロボロにしてしまいました。(笑)良い子のみんなは決して真似しないようにしましょう。
では、竹刀剣道では鎬を削ることは無いのでしょうか?実はそういう場面は多々あります。具体的には擦り上げ技。詳しく解説しましょう。
竹刀剣道の擦り上げ技は鎬を削るのが鉄則!
相手の竹刀(刀)を擦り上げるという動作は刃ではなく鎬部分を利用します。実際には少し手首をひねるような感覚で擦り上げるのが良いでしょう。
こちらは面擦り上げ面の動画です。『鎬で』と解説されています。
面擦り上げ面に関してはこちらの記事も参考にしてください。
また、面返し胴も一見『刃』で受けているような印象を受けますが、実際は表鎬で擦り上げるようにして返すのが正しい打ち方です。基本技稽古法でも、擦り上げるようにという解説になっています。こちらの記事も参考にしてください。
まとめ
今日は、慣用句の『鎬(しのぎ)を削る』という意味や語源について解説しました。もう一度記事を振り返ってみましょう。
鎬を削るという言葉は『激しく争う』という意味でした。語源としては、刀の鎬部分が相手の鎬部分と激しく擦れ合うことによって削れるということでした。
実際に鎬という言葉は剣道でも良く使用される言葉なので、是非覚えておいてください。擦り上げ技では鎬を使うことがとても重要です。決して刃や峰を使って擦り上げることが無いように意識してみてください。
是非、あなたの周りのライバルと鎬を削って文武両道を目指してください。こちらの記事も参考にどうぞ。
SPONSORED LINK