それは、道場で私が一本の木刀を振っていた時のことでした。
ちょっと振ってもいいですか?
これは桐の木刀や。
違う木刀もあるで。こっちはどう?
剣道の素振り用木刀って、色んな種類の物がありますよね。でも、木刀で素振りするのって本当に効果があるのでしょうか?人によって言うこともバラバラで、本当のところってわからないですよね。
ですから、今日は木刀での素振りの剣道効果について考えてみたいと思います。
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木刀の種類と効果
素振り用の木刀を探していたら、凄い木刀を発見してしまいました!
なんと、重さが4kgもあるそうです。どんな木刀かちょっとこちらの動画をご覧ください。値段もびっくりでしたが・・・
一般的に市販されていて入手可能な木刀を重い順に並べてみましょう。
- 八角の木刀(1.6kg~)
- 櫂型の木刀(約1kg~1.6kg)
- 素振り用木刀(約1kg)
- 赤樫木刀(500g前後)
- 薄身素振専用木刀(310~390g)
- 桐の木刀(150g前後)
木刀を購入する時に、最も基準となるのが木刀の重さだと思います。
普段使用している竹刀の重さを基準に考えてみると、竹刀の重さは中学生男子で440g以上、一般男子で510g以上という規定です。ですから、竹刀の重さと比較すると赤樫の木刀で竹刀とほぼ同等ということになりますね。
そして、木刀での素振りをするにあたり、素振りの目的・効果を考えなければなりません。主な素振りの効果としては下の通りになります。
- 筋力アップ
- 手の打ちや刃筋の矯正
- 打突の冴えやスピード
木刀と一概に言っても、先程動画で紹介したような凄く重い木刀もありますし、逆に桐の木刀のように凄く軽い木刀もあります。
それでは、それぞれの目的・効果に合った木刀はどのような木刀なのか考えてみたいと思います。
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筋力アップの効果があるのは重い木刀!
木刀での素振りに筋力アップの効果を求めるなら、やはり重い木刀での素振りが良いでしょう。しかし、上の動画のような4kgもあるような木刀はあまりお勧めできません。
4kgの木刀を実際に振ったことが無いので何とも言えませんが、重過ぎる木刀を振ることによって筋力アップの効果よりも手首や肩を痛める可能性の方が高くなると考えます。
筋力アップ効果の期待できる木刀としては次のような物があります。
- 八角の木刀(1.6kg~)
- 櫂型の木刀(約1kg~1.6kg)
- 素振り用木刀(約1kg)
その中でも色々な物があり、私の持っている素振り用木刀は木刀の左右に溝が掘ってあり、刃筋正しく振るとピュッという風切り音がするので筋力アップだけではなく刃筋矯正にも役立ちます。
実際に学生時代は毎日一般的な素振り用木刀(恐らく1kg程度)で素振りをしていたのですが、
という注意を受けたことがありました。
重い木刀を振ることによって、竹刀を振る為の筋肉が付くので結果として打突速度は速くなるでしょう。しかし、頑張り過ぎるのも良くないということです。
また、重い木刀ということで、変な癖が付くことも考えられます。特に重い木刀での素振りで正面素振りをすると、打ち切った時に重い木刀を止める力が必要になります。ですから、打突を止めるという癖が身に付いてしまう可能性が高くなります。
私は一時期900gの素振り用木刀を毎朝1000本振っていた時期がありました。確かにその頃は竹刀の重さを凄く軽く感じられたのですが、実際の稽古で打突が良くなったかと言われると、そうでもありませんでした。
やはり、気にしていても多少の癖がついてしまうのでしょう。打突の癖というのは非常に厄介ですが、続いてはその癖を矯正する素振りについて見ていきましょう。
手の内や刃筋の矯正効果には普通の木刀を!
剣道をする上で最も重要なのが手の内です。握り方ですね。何と、八段審査でもまず竹刀の握り方を見て殆どの人が不合格にされてしまうそうです。それ程重要!
そして、それを矯正するには木刀を握るのが一番なんですね。
握り方について詳しく解説した記事がありますのでこちらをご覧ください。
>> 剣道において竹刀の握り方は最も重要?
手の内や刃筋矯正に最適な木刀は以下のものです。
- 一般的な木刀(500g前後)
- 薄身素振専用木刀『冴』
木刀というのは柄部分が楕円型になっています。ですから、円型の竹刀を握るよりは正しい握りになり易いのです。
特に、竹刀を握る時に下から握る癖のある場合、同じように木刀を握ろうと思っても握れません。ですから、強制的に正しい握りに近くならざるを得ないということですね。
そして、実際に素振りをしてみると自分の振った時の刃筋の状態もよくわかります。一本一本の素振りを常に意識をすることで、竹刀での素振りよりも手の内や刃筋を矯正することが容易となるでしょう。
楽天を見ていた時に、刃筋矯正に丁度良い商品を発見しました。それがこちらの「冴」という木刀です。
[松勘 武道]素振り木刀【松勘】素振木刀 薄身素振専用木刀 『冴』 赤樫 60-050 ●長さ… |
こちらの商品は実際に見たことがないので、どのようになっているのかわからないのですが、正しく振らないと先がブレてしまうそうです。面白そうですね。
このような木刀を使用して素振りしてみるのも良いと思います。
では、最後に打突の冴えやスピードを身に付ける為にはどのような木刀が最適かということについて見ていきましょう。
打突の冴えやスピードを求めるなら軽い木刀!
初動負荷理論というのをご存知でしょうか?
イチロー選手が取り入れているトレーニング方法として有名です。
一般的な筋トレと言うと、重いダンベル等の大きな負荷を使う事が多いと思いますが、世の中には軽い負荷での筋トレも存在するのです。それが初動負荷理論。
初動負荷理論のトレーニングを行うには専用のマシンが必要になるのですが、気になるのが軽い負荷でのトレーニングというところですね。
軽い負荷でのトレーニングの特徴は下の通り。
- 筋肉が付きにくい
- 疲れが溜まりにくい
- 体が硬くならない
- 素早い動作が身に付く
軽い負荷、つまり桐の木刀のような軽い木刀での素振りがこれに該当するのではないかと思います。軽い木刀が無ければ30cm定規や手刀でも代用可能です。
とにかく軽い負荷で素早い動作を身に付ける。このことを念頭に置いて素振りしてみましょう。これも私が学生時代の話ですが、
と言われたことがありましたが、非常に難しいです。
特に、軽い木刀を振るというのは意外と難しく、余計な力が入っていると上手く振れません。ですから、桐の木刀のような軽い木刀での素振りをすることによって、余計な力の入っていない打突が打てる効果が期待できます。
つまり、打突の冴えですね。冴えという表現は非常に曖昧で難しいですが、軽い木刀で素振りをしてみると何となく理解できるのではないでしょうか。
まとめ
今回、木刀での素振りとその効果について改めて考えてみました。もう一度振り返ってみましょう。
木刀による素振りの効果としては、以下の3点が挙げられます。
- 筋力アップ
- 手の打ちや刃筋の矯正
- 打突の冴えやスピード
筋力アップの効果を得たいなら、市販の素振り用木刀等を使用すると良いでしょう。
但し、重過ぎる木刀の使用や頑張り過ぎには注意した方が良いでしょう。また、余計な力を入れて振り、変な癖が付いてしまわないように気を付けましょう。
手の打ちや刃筋の矯正をするなら、竹刀と同じ程度の重さの木刀を使用すると良いでしょう。竹刀で素振りをするよりも正しい握りと刃筋の確認が容易になります。
また、打突の冴えやスピードの効果を得たい場合には桐の木刀などの軽い木刀での素振りをするとよいでしょう。
しかし、これらの効果を得るには、握り方、姿勢、構え方、体捌き等にも常に注意しながら正しい素振りをする必要があります。筋力アップ目的だからと言って、正しい素振りをしなければ剣道にとっては悪影響となります。
そして、正しい振り方を覚えるには数を掛けなければならないでしょう。1000本やったからカンペキというわけではありません。
例え、1日100本でもいいから正しい素振りを毎日コツコツ続けた方が効果は上がるでしょう。100本の素振りに何分の時間が必要ですか?たった1分程度ではないでしょうか?
毎日寝る前、起きた時などにたった1分だけでも木刀を握って素振りをしてみましょう。1週間や2週間ではその効果は現れないでしょう。しかし、それが3ヶ月、半年となれば大きな効果が得られるものと思います。
1日100本でも、30日で3000本になります。3ヶ月なら9000本、6ヶ月なら18000本です。剣道は地道な努力を続けることが必要となります。
今すぐに効果が得られなくても必ず花開く時が来る!!
そう信じて頑張るしかないのです!!
他にも素振りに関して記事を書いていますので参考にしてください。
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