剣道では足さばきがとても重要と言われますよね。例えば速い打突をするにも上半身よりもむしろ下半身の方が重要だと思います。
剣道用語で「一眼二足三胆四力(いちがんにそくさんたんしりき) 」という言葉がありますが、これは眼の次に重要なのが足だという意味です。しかし、実際はなかなか難しいもので・・・
足さばきが重要なのはわかっていても、実際に何が悪くて、どうすれば良くなるのかというのは解り難いですよね。特に剣道の指導で良く耳にする重心移動。非常に曖昧な言葉だと思いませんか?
というわけで、今日は
剣道で重要な重心移動について考えてみよう!
というテーマを取り上げたいと思います。重心移動がスムーズにできれば、剣道の攻めにも生きてきますし、打突動作もスムーズになるはず!!
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重心移動のキーポイントは膕(ひかがみ)?
まず、わからないのが、
ということではないでしょうか。
重心というのは、外から何らかの力を加えた時でも回転しないところです。と言っても、これでは良く解りませんよね。具体的には、直立状態の時に仙骨付近、高さは床から身長の55%の辺りになります。
但し、重心位置というのは人それぞれ。体型によっても違いますし、姿勢によっても違います。ですが、この重心位置を意識することが剣道のみならず、様々なスポーツでは重要なファクターとなっています。
では、重心移動についてわかり易い動画がありましたので、こちらをご覧ください。
剣道の打突時の重心移動ということを考えたとき、左足の踵の動きに特徴があります。実は、打突時の前進動作では左足の踵が一旦下に下がってから前に出ることになります。実際に私の左足も同じ動きになっていました。
そこで重要なのがひかがみです。
という教えは良く聞きますが、実はこんな理由があったとは全然知りませんでした。ひかがみというのは膝の裏側の部分のことですが、ひかがみを張ることで、上下方向の重心移動を無くしスムーズに前進できるということです。
上級者とそうでな人との違いは何かと言うと、ひかがみ部分で力が逃げてしまうか否かという部分。ひかがみを張ることで、力を上手く爪先に伝えることができるんですね。
稽古の時に少しだけ意識してみると動きが違ってくるかもしれませんので、是非取り入れてみてください。
では、次に前後方向の重心位置について考えてみましょう。打突時にスムーズに出るには前後方向の重心位置も関係があるのでしょうか?
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前後方向の重心の位置!一体どこが理想なの?
構えた時の重心位置はどこが理想なのでしょうか?剣道を始めた時に教えて貰うのは、
ってことだと思います。つまり、5:5の割合で左右の足に体重を乗せるということですね。一般的にはこれが構えの基本。あなたもそう教わりましたよね?
ところが、実際はそうではない場合が多いようです。
- 右:左=6:4
- 右:左=7:3
- 右:左=4:6
- 右:左=3:7
などですね。そして、前後の足幅についても広かったり狭かったりと色々です。傾向としては脚力の強い人、特に若い人は足幅が広く、重心位置も前寄りという場合が多いですね。逆に、年配の方の場合は重心位置が後ろ寄りで足幅も狭いという方が多いようです。
私も歳と共に足幅は狭くなってきました。重心位置についてはほぼ真ん中だと思いますが。
実は、重心位置の違いによって、それぞれメリットとデメリットがあるんです。
構えた時の重心位置によるメリットとデメリット
メリットとデメリットについて、下の表に簡単にまとめてみました。
重心位置 | メリット | デメリット |
---|---|---|
前寄り | 素早く出られる | 飛距離が短い |
後ろ寄り | 飛距離が長い | 素早く出られない |
重心位置が前寄りの場合、素早く打突動作に移行できるので、出端技を狙う場合などには有効です。しかし、反対に左足の蹴りが弱くなってしまうので、遠い間合いからの打突は届かない可能性があります。
ですから、脚力の強い人の場合は多少遠い間合いでも届くので、前寄りの重心位置で構える人も多いということになります。
逆に、重心位置が後ろ寄りの場合は、左足が効いているので遠い間合いからの打突ができます。遠い間合いから飛ぶので打突自体に時間が掛かって不利になるように思えますが、攻め方の一つとして考えれば応じ技に変化し易いという利点もあります。
但し、重心位置が前寄りの場合と比較すると素早い打突ができないので、出端技は苦手な傾向があります。
つまり、重心位置は、その人の剣道スタイルによって大きく変わってくるということです。その特性を良く理解すると、実践に活かすことができるのではないでしょうか。
そして、重心位置の前後に関係なく、スムーズな重心移動ができることで、その特性はより一層活かすことができると思います。また、重心移動は継ぎ足が直らないということにも関係しています。こちらの記事も参考にしてください。
では、前進時の重心移動をスムーズに行うということについてもう少し具体的に見ていきましょう。
前進時の重心移動!構えを崩さずに移動しよう!
すり足の基本は体を上下させないことです。体を上下させない為には、歩幅を小さく速く動かすのが良いでしょう。しかし、打突時には比較的長い距離を前進しなければなりません。何かコツがあるのでしょうか。
打突時にもなるべく体を上下させないように打つのが良いでしょう。つまり、上に高く飛び上がらないというイメージです。ギリギリまで床を這うようにす~~~と右足を滑らし、最後に踏み込む感じですね。
高段の先生方の打突はそのようなイメージではないでしょうか。大きく前進するときの注意点としては、上半身を前傾させたり、後傾させたりしないように、構えたままの状態で前進するということです。
まとめ
今日は剣道で重要な重心移動について考えてみました。稽古をしていると、時々重心の話をされることがありましたが、なかなか理解できなかったのは私だけでしょうか?しかし、今回の記事をまとめてみて、以前よりは理解できるようになりました。
では、もう一度記事を振り返ってみましょう。
重心移動をスムーズにするには、打突時にひかがみを張ることがポイントでした。打突時に左足を蹴る動作が必要になりますが、この時に一旦踵が下がるというのです。
しかし、上級者の場合はひかがみを張ることで、下に向かう力を上手く爪先に伝えることができ、踵が下がるということがありません。
そして、前後方向の重心位置については、あなたの剣道スタイルに合う位置を見付けてください。脚力が強く、出端技を狙いたいという場合には前寄りに、遠くから跳びたいという場合や応じ技を狙いたいという場合には後ろ寄りにすると良いでしょう。
スムーズな重心移動ができると、攻め方にも幅ができますし、更に剣道が面白くなるのではないでしょうか。早速明日から検証してみてくださいね。
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コメント
自分も記事の通りひかがみを張るのは大事だと思います。でもひかがみを張るといっても伸ばしすぎず曲げすぎずちょうどいい曲げ具合のひかがみを覚えるのって難しいです。そこで構えた際に左足のかかとの上げる高さは足の親指が1本入るくらいがちょうどいいらしく、そうすると自然とちょうどいい曲げ具合のひかがみにるんですね。
kenndoさん
いつもコメントありがとうございます。
「ひかがみを張る」というのも非常に曖昧で、よくわからない表現ですよね。私自身もわかったような、わからないような感覚です。
足の親指が1本入るくらいという表現、とても解り易くて良いですね。子供達に指導する時に使わせて頂きたいと思います。