剣道で最も解り易い技と言えば、やはり胴打ちですよね。そんな剣道の胴打ちに関して中学生のゆずちゃんから質問を受けました。
どうしても胴打ちがうまく打てないんで教えてください!
上から下に打つ!
以上!!!
返し胴なんて難しいやん。コツはあるけど。
私は特別胴打ちを得意としているわけではありませんが、剣道の技の中では比較的得意な方だと思います。不得意ではありません。かといって、何が得意と言われても困るのですが・・・
胴打ちが苦手な人というのは多いようで、時々似たような質問を受けることがあります。ですから、今日は剣道における胴打ちのコツを紹介したいと思います。
胴の打ち方がわからないと悩んでいたゆずちゃんも、ちょっとしたコツを教えてあげたら少し苦手意識が無くなったようです。
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正しい胴の打ち方
まずは正しい胴の打ち方を知らなければなりませんが、文字ではなかなか伝わらないと思いますので、イメージする為に動画をご覧ください。
YouTubeを見ていると胴打ちに関する動画が沢山見つかりましたが、その中から厳選して掲載しましたので、こちらの動画をご覧ください。動画は大阪府警の寺本先生です。
寺本先生の面返し胴の動画は素晴らしいですよね。打った後が歩み足になっていますが、基本は送り足だと思いますが、より速く抜けるには歩み足の方が適しているのかもしれません。
基本的な胴の打ち方は言葉にするととても簡単です。
- 真っ直ぐ振りかぶる
- 手首を返して刃筋正しく打つ
- 打ち抜ける(残心)
大きく打つ場合、小さく打つ場合、面抜き胴、面返し胴などで若干の違いはありますが、基本的な胴の打ち方としては上記の通りです。大事なのは刃筋正しく打つということ。
注意点としては、相手の胴を見るということですね。通常の目付は遠山の目付です。しかし、胴を打つ瞬間だけは胴を見て打つようにしましょう。
また、基本の胴打ちとしては右胴(自分から見て左側)ですが、左胴(逆胴)も有効部位なので技の幅を広げるという意味でも打てるようになると良いでしょう。
さて、基本的な胴の打ち方がわかっても実際に打ってみると意外と難しいものです。胴打ちのコツを挙げるとすれば、以下の3点だと思います。
- 足の運び
- 身長差のある場合は体を低く
- 打った後は素早く抜く
それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
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胴打ちはすり足で打つ?
まずは胴打ちの時の足の運びについてですが、実は先日、お隣の団体を指導しているN先生から相談されたことがありました。
そう言われてみれば、私は胴打ちの時は踏み込んでいません。書籍などを見ると「踏み込む」と書かれているので、基本は踏み込むということのようです。
しかし、上の動画でもすり足での打突ですので、やり易い方法で良いのではないかと思います。
すり足で打つ場合は、振りかぶりの時に右足を出し、打突のときには左足を引き付けるという打ち方になります。言葉で説明してもよくわからないかもしれないので、再度、先程の寺本先生の動画をご覧ください。
スロー再生があるので良くわかると思いますが、右足を前に出しつつ相手の面を竹刀で受け、その後に返して胴を打ちます。この、打つ時が左足を引き付けるタイミングです。
それでは、応じ技についても見ていきましょう。
面抜き胴・面返し胴の足さばき
N先生のところの団員さんは面返し胴の稽古をしたところ、踏み込もうとするのでどうしても遅れてしまっていたそうですが、やはり足の運びがうまくできなければ応じ技はできません。
しかし、すり足で打ってもなかなかうまく打てませんよね。面抜き胴や面返し胴の場合はどうしても相手との間合いが近くなりすぎて上手く打てません。特に面返し胴は相手の打突を受ける必要があるので、更に出遅れてしまいます。
そんな時は右足をいつもより大きく右側に出すと打ち易くなります。
通常、面抜き胴や面返し胴を打つ場合は右足を右斜め前に出します。しかし、相手の突進スピードが速い場合は、この右足を出す位置を前ではなく、右側に出るイメージで打ってみましょう。意外と上手く打てるはず!!
ところで、相談をしてきたゆずちゃん、結構身長が高い女の子なんです。たまたま見た時に小学生の小さな男の子の胴を打とうとしていたのですが上手く打てません。それはなぜでしょうか?
身長差のある場合は体を低く
胴打ちの基本は面打ちと同じで上から下に打たなければなりません。ですから、背の高い人が背の低い人の胴を打つのはかなり難しいのです。
普通に構えた状態から斜めに振り下ろして、胴の位置を打とうとすると、左手よりも右手の方が下がってしまいます。この状態で刃筋正しく打突するのは難しいですよね。
そういう場合は、右足を前に出す時に思い切って右膝を曲げて体全体を低くしてみましょう!すると、上半身が低くなりますよね。その状態なら同じくらいの身長の人と同じように打てるはずです。
足腰の鍛錬のつもりでやってみるのもいいですよ。
さて、問題は胴を打った後・・・と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
打った後は素早く抜く
胴打ちは打った後も難しいですね。試合の時にもただ胴を打っただけではなかなか有効打突としては認めて貰えません。打った後に抜くという動作が必要になってきます。
打った後の動作については指導者によって色々な意見があるので、基本的には所属の先生の指導に従ってください。ここで紹介するのは私がカッコイイと思う方法です。あくまでも参考程度にしてください。
あなたは胴を打った後の左手をどうしていますか?
- 構えと同じ握りのまま
- 左手を右手の後ろに移動
- 左手を竹刀から放す
打った後に左手を普通に握ったままで抜いている方も居られますよね。でも、あれってとっても難しいと思います。手首を柔らかく使わないと無理でしょう。
私が最初に習ったのは、(2)左手を右手の後ろに移動させるという方法でした。右手と左手の位置が近ければ竹刀操作が容易になるので、抜き易くなるというものです。
しかし、甲手が邪魔でそんなことできません。実際にやってる人はおられますが、私にはちょっとハードルが高かったようです。
というわけで、私は(3)左手を竹刀から放してしまっています。打った後に左手を放し、素早く竹刀を抜いて構えの状態に戻します。これを速くできるようになると、非常にカッコイイのです。
ちなみに、これは憧れの八段の先生に教わりました。ちょっとやってみてください。胴を打ったというよりも、胴を斬ったというイメージに近くなります。
まとめ
剣道の技の内、胴というのはちょっと特殊かもしれません。何故なら、打たれた後にショックを受けるから。(笑)
昇段審査で苦労していた時に八段の先生から、胴を打った後はそこで終わらずにすぐに次の攻めに繋げるべきだと指摘を受けたことがありました。それは、胴を打たれた方がショックを受けているから、そこを畳み掛けるのだと。
つまり、胴というのは、面や小手には無い精神的なショックを与えるだけの力のある技なのです。ですから、是非打てるようになって頂きたいですね。
では、剣道における胴の打ち方についておさらいしてみましょう。
胴の打ち方の基本はとっても簡単です。
- 真っ直ぐ振りかぶる
- 手首を返して刃筋正しく打つ
- 打ち抜ける(残心)
たったこれだけ。そして、胴を上手く打つコツについても紹介しました。
- 足の運び
- 身長差のある場合は体を低く
- 打った後は素早く抜く
この3つのコツを身に付ければ、誰だって簡単に胴を打つことができると思います。面抜き胴だって、面返し胴だって。
面返し胴については別記事を書きましたので、是非ご覧ください。
!剣道を知らない人が一番解り易い技、それが胴なんだそうです。ですから、胴を打てるとそれだけで格好良く見えますよ。
是非、胴をうまく打てるようになってください。
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コメント
とても分かりやすいコツをありがとうございます。皆さんも経験あると思いますが、指導者によって大きく指導内容が異なるので、混乱させられています。私の混乱は、絶対胴を打ち抜いた時、左手を竹刀から離すなという指導。私は離したいし、その方が理にかなってると思います。そして胴打ちでも正中線から左手をずらすなという指導を受けていますが、実際やってみたけどぎこちなく撃ち抜いた感がありません。多少ずらさないと見た目も不自然と感じます。添付の寺内選手の胴打ちも正中線からずれていますが、美しいです。ご意見をお聞かせて頂ければ幸いです。
山田太郎様
コメントありがとうございます。
個人的には、多少左手が正中線からずれていても良いのではないかと考えます。切り返しでも正中線からずらさないと指導されますが、やはり少しはずれますよね。胴打ちも切り返しと同じだと思いますので、仕方がないのではないでしょうか。
寺本先生の動きをスローでじっくり見ると、確かに正中線からずれているように見えます。ずれているというか、打突の瞬間には既に左手を放しているいるように見えます。打突の時に片手になるのは打ちが弱くなると考えますのでおすすめできませんが、こちらも打突が鋭い場合には問題ないのでしょう。