大会前に子供達に試合稽古をさせた時のことでした。
前に出るんや~!!
そこや!そこ~~~!!
と、鬼の形相で試合場の横からゲキを飛ばしていたわけですが、それを見ていた保護者のゆずママさんから言われてしまいました。
試合中に?
あれ、本当は駄目なんですよ。
応援のマナー違反と言えばいいのかな。
あれ、駄目なんですか~?
剣道の応援って、基本的に声援は禁止ですよね。大会によっては応援は拍手のみという風に大会要項に記載されていたり、試合運営上の注意事項としてアナウンスされたりということもあります。
でも、こういった剣道の応援マナーって、保護者さんは意外と知らないようでした。そうなんです。これは試合審判規則で決まっているわけではなく、食事のテーブルマナーと同じ、単なるマナーなのです。
というわけで、今日は
剣道の応援にマナー
というテーマを取り上げてみたいと思います。実は私自身も応援は拍手だけというのは知っていたのですが、どうして拍手しか許されないのかなんてことは考えたこともありませんでした。良い機会なのでじっくり考えてみたいと思います。
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剣道は公平性を保つためにも静かな応援を・・・
剣道の応援にはマナーがあるということですが、マナーって一体何でしょう?こちらにマナーCMというものがありましたのでご覧ください。
菊千代さんの言葉でマナーということがよくわかりましたね。つまり、マナーとは相手を思いやる心。それは剣道で最も大切な礼節なのです。ですから、剣道の試合を応援する時も、相手への気遣い、心遣いが大切だということです。
『剣道は礼に始まり礼に終わる』
という言葉を聞いたことがありますよね。実はそれも相手への気遣いから始まったことです。剣道と礼ということに関しては別記事にまとめてありますので、そちらの記事も併せて読んでみてください。
マナーは礼儀だということはわかりました。でも、どうして剣道の応援で声を出してはいけないのでしょうか?声を出すことと礼儀とはどういう繋がりがあるのでしょう?
例えば、剣道の試合会場で冒頭のように指示をしている指導者を見たことがありませんか?こんな感じに。
もはや応援と言うよりも指示と言うべきでしょうか。明らかに応援ではありませんよね。応援というのは励ますことですが、この場合は励ましているというわけではありません。しかしながら、現状はこのような指導者やチームメイトが少なからず居られることは確かです。
では、この応援が何故いけないのでしょうか?それは、単にマナーだけの問題ではありませんでした。声を出しての応援が駄目な理由は次の3点です。
- 相手に対する気遣いが無い
- 公平性に欠ける
- 審判員の判断を鈍らせる
では、順に見ていきたいと思います。
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剣道の応援は相手に対する気遣いが大切!
もし、あなたが拍手のみでの応援をしていたとして、相手側の指導者が大声で指図しているのを見たらどう思いますか?当然、良い気分ではありませんよね。その時点で、相手に対する思いやりの心が欠けているということになります。
つまり、声を出しての応援はマナー違反です。剣道で最も大切なことは礼儀です。礼儀を学ぶ為に剣道をしているはずが、気が付いたら礼儀を重んじていないという状況。それでは本末転倒ということになります。
これはいけませんね。試合の時も、稽古の時と同じく相手を敬う心を忘れないようにしましょう。
では、次に公平性という部分について見ていきたいと思います。
試合は公平でなければならない
稽古中に欠点を指摘したり、打つべき機会を教えるということはとても良いことだと思います。しかし、試合となるとどうでしょうか。明らかに公平性に欠けることになりますよね。
相手の欠点を教えたところで、すぐに対応できるものでは無いかもしれません。逆に、相手に自分の欠点を見せて、敢えてそこを打たせるという場合もあるかもしれませんよね。どちらにしても、外部からの声を出しての応援は良くないことには違いありません。
剣道の試合というのは、試合場に立った二人の真剣勝負でなければなりません。つまり、第三者が介入する余地は無いということですね。選手が誰の助けも借りずに、自力で判断して道を切り開いていく必要があるのです。
これは、剣道に限ったことではありません。社会生活においても最終的には自分の判断。成功しても、失敗しても、全て自己責任なのです。剣道はその為の修練の場であるべきだと考えます。
地方の小さな大会に参加して感じるのは、特に小学校低学年の試合です。自分ではどうすることもできず、誰かの助けを借りたいというのはよく理解できます。しかし、それを指導者が大声で指示するのは公平性を欠くだけではなく、その選手の為にも良くないことではないでしょうか。
では、次に有効打突の見極めについて考えてみましょう。
剣道の試合判定は音も重要な要素である
剣道の審判って非常に難しいと感じたことはありませんか?年齢によっても違ってくるし、その大会、その会場によっても有効打突のレベルが変わってくることがあります。とっても曖昧ですよね。
ですから、審判員は常に講習会を受講して勉強しています。その講習会で時々聞くのが
ということです。特に小手なんかは裏側に回ると、きちんと打突部位を捉えているか否かということが見えないことがありますよね。そんな時は音で判断する必要があります。
審判員が音で判断しようとしている時に雑音が入ってきたらどうでしょうか?
有効打突の判断が鈍ってしまいますよね。ですから、余りにもマナーが悪い応援の場合は審判員は試合を一旦中断させ、応援をしている人を注意する必要があります。
そんなことになったらどうでしょうか?勿論、試合進行の妨げになりますし、選手にとっても集中力が途切れたりします。それだけではありません、その選手を応援している人のマナー一つで、選手自体の印象も悪くなってしまいます。
試合の優劣に加味されることは無いかもしれませんが、審判員から見て選手の印象が悪いということは、その選手にとって良いことではないということは容易に想像できますよね。
まとめ
今日は剣道の応援マナーについて考えてみました。先日の剣道大会では審判長とも協議し、開会式の時の試合場の注意事項として
という文章を入れることにしました。
審判長はそれ程効果を期待されていなかったようですが、実際はかなり良い雰囲気の大会となりました。いつも大声で叫んでいる指導者のF先生も、
と、声を出さないように努力をされていたようです。(笑)
自然に出てしまう声は仕方がないとしても、やはり応援は拍手のみという心掛けが大切なのだということが良くわかりました。そして、今まで知らなかったという保護者さんも納得して試合の応援をされていたようです。
では、もう一度記事を振り返ってみましょう。
剣道の応援マナーとしては、『応援は拍手のみ』ということになっています。これは試合審判規則に明示されているわけではなく、暗黙の了解と言っても良いでしょう。大学剣道連盟などには明記されていますが、そのような場合は稀だと考えます。
では、どうして声を出しての応援がマナー違反なのでしょうか。その理由は何次の3点。
- 相手に対する気遣いが無い
- 公平性に欠ける
- 審判員の判断を鈍らせる
剣道の応援マナーは礼儀作法の一つです。剣道は礼に始まり礼に終わる。応援する側も正しく礼節を重んじて武道らしい応援をしましょう。
ちなみに、試合者に対して監督やコーチが指示してはいけないというのは剣道だけのようです。これも剣道の中の精神修業の一つなのですね。
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コメント
服装はわかりますが^^ 応援は もっと もっと にぎやかで
いいじゃないですか? 人気があるスポーツほど応援は はなやかでしょう^^ 以上 剣道の発展うを祈って 年寄りのつぶやきです
田中鉄實様
コメントありがとうございます。
価値観は人それぞれだとは思いますが、個人的には剣道は華やかなスポーツというよりも雅な芸事に近いのではないかと思います。
そういう部分が今の世の中には合わないのかもしれないので、変えて行かないといけないのかもしれませんね。
小5の息子は昨年から剣道をはじめて、大会に出るようになりましたが、剣道のことを全く知らない私はどう応援したらよいかわからず、とりあえず無言で見守るのみでした。
そして、未だに拍手をするタイミングもわかりません。(笑)
いろいろ参考にさせていただいています。
ちなみに、私は中学からずっと弓道をしていましたが、やはり声を出しての不規則な応援はなく、当たった時の「よし!」などの掛け声と全部当たったときの拍手があったくらいでした。
剣道と違い弓道は選手も声を出さないですから、試合場はしーんとしてます。
でも、集中力を要求されるものですし、緊張感あっていいものですよね
真善美さん
コメントありがとうございます。
弓道のことはよくわかりませんが、「弓と禅」という本を読んで剣道以上に奥が深いのではないかと感じています。緊張感が伝わってくるのが想像できますね。
剣道の応援については、小さな大会ならそれ程うるさくないので、ある程は声を出しても大丈夫だと思います。見ている内に拍手のタイミングもわかると思います。攻めて打っていれば、当たってなくても拍手してみましょう。是非。