剣道をしていると、「腰が入ってない」と指摘されることがあるかもしれません。でも、腰を入れるってどういうことなのでしょうか?
腰を入れることができたら猫背も直るんじゃない?
女子高生のMちゃんは剣道部の先輩達に指摘されて相当悩んでいるようでした。
というわけで、今日は
剣道は腰を入れることが重要ってどういうこと?
というテーマを取り上げてみたいと思います。私自身は指摘されたことがないのですが、映像なんかを見ると、ちょっと腰が入っていないように感じます。
ですから、頑張ってMちゃんと一緒に腰の入った打突ができるように対策を考えたいと思います。
SPONSORED LINK
剣道において腰を入れるとは?二つの解釈があるってホント?
腰の入った打突というと、こんな感じでしょうか。こちらは面の一本集です。こんな面打ちに憧れますね。
さて、剣道において腰を入れるというのは、どういうことなのでしょうか?実は、単純に「腰を入れる」と言っても、次の二つの解釈があることがわかりました。
- 左腰を入れる
- 打突時に腰を曲げない
これは、どちらが正しいのかということではありません。どちらも正しい、つまり、両方が満たされていないと腰の入った打突はできないということになります。では、それぞれについてもう少し詳しく見ていきましょう。
左腰を入れるとは?不離五向の訓えが重要!
剣道は左が重要とよく言われます。左手、左足。そして、左腰。左腰を入れるという表現を聞いたことがないでしょうか?
と、突っ込みたくなりますね。左腰ってどういうことなのでしょうか?
あなたは、不離五向という言葉を聞いたことがあるでしょうか?不離五向とは、五つの物を相手に向け、決して離してはいけないという教えですね。
日常生活では聞きなれない言葉かもしれませんが、これを機に覚えておきましょう。剣道の構えは不離五向であるという言葉を
その5つというのは下の通り。
- 心:相手に向かっていく心
- 目(視線):相手の目をしっかり見ること!
- 剣先:剣先は相手の正中線を!常に中心を取る意識が大切!
- 足:特につま先は常に相手の方を向いていて、いつでも出られるように!
- 臍:臍を相手の正面に向けること!
その中で、左腰と関係があるのが「つま先」と「臍」です。つまり、左腰を入れるということは、両足のつま先と臍を相手の方に向けるということです。
左腰を入れるポイントは臍(ヘソ)とつま先だった!
剣道は右手・右足が前の状態で構えるので、どうしても半身になってしまいます。しかし、その状態では左足のつま先と臍は相手の方を向くことができません。
そこで、左側の腰をぐっと前に持ってくることで、骨盤は相手に正対します。すると、不思議なことに、自然とつま先も相手のほうを向くことになるでしょう。
構えた状態で腰を入れるということはこういうことなのです。逆に、腰が入っていない構えというのは、左足と骨盤が左斜め前を向いてしまっている状態のことを言います。
更に、人間の自然体はどのような形かと考えると、左右のつま先が少し開いた状態ではないかと考えます。しかし、現代剣道では左右のつま先が開いた状態は撞木足(しゅもくあし)と言われます。
ちなみに、撞木というのはコレ(鐘を叩く棒)のことを言うようです。
では、構えの時点で腰が入っていないとどうなるのでしょうか?
左足で上手く床を蹴ることができません。その結果、跳ね足になってしまったり、右手打ちになってしまったり、左の脇が開いてしまったり・・・そして、打突自体も軽くなってしまうかもしれません。
それだけではありません。左足を蹴り出す動作の時に足首が捻じれる可能性もあります。つまり、怪我をする可能性が高くなるということですね。アキレス腱への負担も大きくなると考えます。
ほんの少し構えを修正して腰を入れるだけで、それらのことも全て良くなるかもしれませんので、意識してみてください。但し、臍を相手に向ける時には少しだけ意識した方が良い点がありました。
左腰を入れる時には骨盤を前傾にも意識しよう!
単に臍を相手の方に向けるだけでは構えとしては良くありません。実は、意識すべきは骨盤だったのです。構える時に、ほんの少しだけ骨盤を前傾させることを意識してみてください。ぐっと構えが格好良くなるに違いありません。
調べてみると、日本人の骨盤は後傾していることが多いということなので、意識して前傾させる必要があります。ポイントとしては、次の2点を意識すると良いと思います。
- 臍を前に出す
- お尻を締める
骨盤を前傾させることで、ヒップアップ効果も期待できます。日頃の姿勢も良くなるかもしれませんね!では、次に打突時に腰を入れるということについて考えてみましょう。
SPONSORED LINK
打突時に腰を入れるということは腰を曲げないということ?
腰の入っていない打突というのはどういう状態かということは、なかなか言葉で説明するのが難しいと思います。動画も探してみたのですが、なかなか分かり易いものが見つかりませんでした。
少し解り辛いかもしれませんが、こちらのイラストのようなイメージです。
お尻が後ろに突き出ているような印象がありますが、打突時にこのような姿勢になるのは少し勿体ないですね。お尻が突き出してしまうことで、体全体を前に押し出すことができません。顎は上がり、右足も突っ張ったような形になってしまっています。
この姿勢でも打突部位を捉えていれば有効打突と認められる可能性は高いと思います。しかし、適正な姿勢という点においては有効打突にはなりにくいでしょう。恐らく、打突動作に入る時に左足にうまく力が伝えられていない為にこのような形になってしまうのではないかと考えます。
では、どうすれば腰の入った打突ができるのでしょう?
腰の入った打突をするにはどうする?
腰の入った打突をする方法としては、打った時の形を意識する事が最も重要だと思います。
難しい場合は、まず構えの時点でひかがみを張ること、そして、脚の力を足の裏にきちんと伝えることを意識してみると良いと思います。ひかがみを張るということに関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。
そのままの状態で床を蹴り、前に出ることができれば腰が入るのではないでしょうか。私自身も時々へっぴり腰状態になってしまうので、あまり大きなことは言えませんが・・・
かなり前の話になりますが、剣道雑誌に『短い竹刀を使用して打突をすると腰の入った打突ができる』と書かれていたので、試してみたことがありました。
丁度、タイミング良く使用していた竹刀の先の方だけが割れてしまったということもあり、剣先部分を10cmくらい切って稽古に使用してみました。39の竹刀を35~36くらいの長さにしたことになります。
最初は全然届かなかったのですが、その内に腰の入った打突ができるようになったような気がします。実際に横から見たわけでは無いのでわかりませんが、届くようになったことは確かです。短い竹刀が手元にある方は試してみてください。
まとめ
今日は、剣道における腰を入れるということについて考えてみました。もう一度記事を振り返ってみましょう。
剣道における「腰を入れる」ということは、次の二つの解釈があります。
- 左腰を入れる
- 打突時に腰を曲げない
まずは、臍と爪先を相手に正対させるということ。それから、構えている時点でひかがみを張るということ。この二点が重要です。その時に、少しだけ骨盤を前傾させるのも忘れずに!
腰の入った打突ができれば、本当に格好良いですよね。打突自体も打ちが強くなる可能性もありますし、姿勢が正しいということは打った後の体さばきもスムーズにできます。良いことばかりという印象です。
- 手で打つな足で打て!
- 足で打つな腰で打て!!
と言われるように、剣道は腰が重要です。腰から前に出られるように努力しましょう。
SPONSORED LINK