木刀による基本技稽古法の2本目に「二・三段の技」というのがあります。基本技稽古法についての詳細はこちらの記事をご覧ください。
小手面という技は無いという言葉、聞いたことありますよね?小手面ではなく、「小手」と「面」だと。しかし、基本技稽古法でも二・三段の技がありますので、わけがわかりません。というわけで、今日は
剣道の二段技は本当に必要なのか!?
ということについて考えてみたいと思います。小手面という技が無いのならそんな稽古をしても無駄になるだけ。果たして何の為の稽古なのでしょうか?
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剣道の二段技が必要な理由って何?
まずは寺本先生の小手面を見てみましょう。
やはり世界一の選手は凄いですね。では、「小手面」と「小手と面」の違いは何かということを考えてみてください。恐らく、あなたはこのように考えるのではないでしょうか。
- 小手面:最初から小手と面がセット
- 小手と面:小手を打ち、防がれた時に二の太刀として面を打つ
そこで問題です。竹刀では無く、刀だと考えた時、小手を斬った直後にそのまま面を切れるものでしょうか?私は実際に斬ったことが無いので明確な答えはわかりませんが、恐らく無理ではないかと考えます。
つまり、最初から決め打ちの小手面は小手が決まっているなら不可能ということになります。では、決め打ちの小手面の稽古は不要なのでしょうか?今まで実戦で使えない技の稽古を一生懸命していたのでしょうか?
実は、小手面の稽古は必要です。剣道において二段技、三段技が必要な理由はただ一つだと考えます。それは、
いついかなる時でも二の太刀、三の太刀を打てる姿勢を作る
ということです。足さばき、体さばきを適切な状態に保つ為の稽古法なのです。ですから、日々の稽古において二段技・三段技の稽古をする時には、次の2種類の稽古を分けて考えるべきでしょう。
- 連続で素早く打つ稽古
- 一の太刀が決まらなかった時の二の太刀を打つ稽古
連続で素早く打つ稽古に関しては、とにかく速く次の技が打てる足さばき・体さばきができるように工夫する稽古法です。つまり、主に体を作ることが目的と考えます。
では、一の太刀が決まらなかった場合はどうかと言うと、判断力を養う稽古法なのです。つまり、相手の対応によってどのような二の太刀を打つべきなのかということを咄嗟に判断する力を身に着けるのが目的です。
ですから、大人になってから剣道を始めた方や大人になってから再開されたリバ剣の方は後者の稽古に重きを置くべきではないかと考えます。
実戦を意識した大人の二段技
では、実際にどのような技の組み立てができるのかということについて考えてみましょう。主な技はこちらになります。
- 面→面
- 面→胴
- 面→小手
- 小手→面
- 小手→胴
- 突き→面
- 引き面→引き小手
- 引き胴→引き面
但し、例えば「面→面」と言っても単純な技ではありません。頭を使った「面→面」なのです。解り辛いので、それぞれの技に着いてもう少し具体的に説明しましょう。
面から始まる連続技!面をどのように防がれたのか?
まず、面から始まる連続技について考えてみましょう。あなたが面を打った時、相手の選手がどのように避けたのかということを考えてみてください。
面を打った時の相手の動作として考えらえるのは、「下がる」「竹刀で受ける」でしょう。
面を打ったら相手は下がって避けた→追い込んで面
相手が一歩引いたり、上半身だけで面を避けた場合はもう一歩追い込んで面を打ちましょう。面→面です。
勿論、最初の面は決めるつもりで渾身の力を籠めて面を打ちます。しかし、その面打ちを下がって避けられた場合は、面に隙ができることが多いので面を打つことができます。
竹刀で面を避けられた場合の5パターンの連続技
相手の選手が竹刀で面を避けた場合は、恐らく「小手」と「胴」に隙ができている状態でしょう。その時は迷わず小手か胴を打ちましょう。右胴が打ち難い状況の場合は左胴でも問題ありません。
但し、小手も胴も打ち辛い状況ということもあります。この場合は竹刀で避けているのとは反対側の面を打ちます。左右面ですね。
ですから、下のような5つのパターンができることになります。
- 面→小手
- 面→右胴
- 面→左胴
- 面→右面
- 面→左面
おすすめは左右面を打つ方法。私は手首が硬いので上手く打てないのですが、全日本剣道選手権で内村選手が良く使っている印象です。
手首の返しが上手くできないという場合には、頑張って切り返しの稽古をしましょう。
切り返しができれば全ての技ができると言われます。その中でも特に手首の返しを身に着けるには、切り返しが一番有効な稽古方法でしょう。但し、キツイです。私も頑張ります!
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小手から始まる連続技!手首を返して打つ!
小手を打った後の相手の反応はどうでしょうか。考えられる行動としては、次のようなパターンです。他にもあるかもしれません。
- 竹刀で小手を庇う
- すり上げようとする
- 小手抜き面をする
- 小手を庇い、更に次の面を予想して竹刀を上げる
- 竹刀を押さえ込む
殆どの場合、剣先が動くのではないかと思います。少しでも剣先が動けば、そこは隙となり、打つことができますよね。つまり、先程と同様に相手の動きに応じて隙のできたところを打てば良いということになります。つまり、こういうこと。
- 剣先が下がった→面
- 剣先が上がった→胴
もう少し詳しく見て行きましょう。
小手を打った後に相手の剣先が下がったら小手→面!
小手を打った時に相手の剣先が下がったら面に隙ができるので面を打つことができます。但し、そんなに簡単に打てる状況ばかりではありません。
例えば、あなたが小手を打ったら、上から抑え込まれるような状況になった場合はそのまま竹刀を上げることは困難です。そんな時はどうすれば良いでしょうか?
竹刀を押え込まれたら、すかさず手首を返して面を打てば良いのです。
ここでもやはり切り返しの動作が役に立ちますね。切り返し最強です。
小手を打った後に相手の剣先が上がったら小手→胴!
では、小手を打った時、相手が小手をすり上げようとしたり、小手を抜こうとした場合、あるいは次の面を予想して面を避けるように竹刀を上げた場合はどうすれば良いでしょうか。
この場合は剣先が上がっている状態なので、胴に隙ができますね。つまり、小手胴です。
小手胴は日頃の稽古でも打つ人が少ないのではないでしょうか?ですから、小手を打った後に胴を警戒する人は非常に少ない印象があります。一度、小手胴を試してみてください。きっと面白いように打てるでしょう。
但し、ここでも手首の返しが生きてきます。小手から胴に素早く手首を返すことができなければ小手胴は打てません。ちなみに、私はこっちの返しはできるので、小手胴は打てます。
続いて突きについても考えてみましょう。
突きを避けられたら面!
私自身、突きが下手なので地稽古で突きを打つことは殆どありません。たまに突きを打ってみると、相手の方は確実に何らかの動きがあることがわかります。是非、あなたも一度突きを打ってみてください。
但し、突きを打った後に無防備にならないように注意しなければなりません。突きを避けられたら、すかさず次の技へと繋げましょう。突きの避け方として多いのが、後ろに引くという場合です。その場合に有効なのが、追い込んで面ですね。また、竹刀を押さえ込む形で避けるパターンもあると思いますので、その場合は小手の時と同じように手首を返して面を打つのが良いでしょう。
突きを攻めて面を打つということにも繋がると思いますので、突きの苦手意識をなくしていきましょう。(私のことですが)良ければ、突きについての記事も参考にしてください。
では、次は引き技についても見て行きましょう。
引き技だって二段技!相手を居着かせるには!?
引き技での二段技を基本稽古で取り入れている方は少ないかもしれません。もしくは、大人の方が基本稽古をする場合、引き技自体を稽古していないという状況かもしれませんね。
しかし、どんな状況でも打つということを考えた時、やはり引き技というのは非常に有効な技だと考えます。更に二段技が打てるようになれば最強ですね。
例えば、引き面を打った時、相手の選手が面を竹刀で避けたとしましょう。小手も胴も隙だらけですよね。また、引き胴を打った時、逆に面に隙ができるのではないでしょうか。そう考えると、引き技の二段技もとても有効だと思います。
但し、これは非常に難しいですね。素早く手首を返さなければならないのは勿論ですが、間合いの取り方が非常に難しいと思います。近過ぎず遠過ぎず、丁度良い間合いで打突するには修練が必要でしょう。
しかし、引き技の二段技ができるようになると、フェイントに近い技も簡単にできるようになるので是非一度稽古に取り入れてみてください。
まとめ
今日は剣道の二段技・三段技について考えてみました。
剣道を竹刀ではなく真剣を用いると考えると『小手面という技は無い』と言われますが、基本稽古では二段技・三段技の稽古は取り入れるべきでしょう。
その理由としては、常に打突のできる心構え、足構えを作る必要があるからです。
しかし、基本稽古の時に何も意識せずに連続打ちをするというのは良くないと考えます。今、何の為にその稽古をしているのかということを常に考えながら取り組むべきでしょう。ですから、例えば小手面なら、
- 連続の小手面の稽古
- 小手を打った後に相手の隙を見付けて次の面を打つ
という区別をして取り組んでみては如何でしょうか。また、二段技・三段技だけでなく、四段技、五段技などを稽古に取り入れるのもおすすめです。
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